人類は噂話と陰口で進化した!? 映画『誰もがそれを知っている』で描かれる村社会のヤバさを高橋ユキらが解説!

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画像は『誰もがそれを知っている』公式サイトより引用

 6月1日(土)に公開される映画『誰もがそれを知っている』試写会&トークイベントが、5月20日(月)に東京・ユーロライブで開催された。

 本作は、『別離』(2011)、『セールスマン』(2017)でオスカーを受賞したアスガー・ファルハディ監督の最新作。初のオールスペインロケに挑んだという力作だが、その着想は同監督が15年前にスペインを旅行中、壁に貼られた行方不明の子どもの写真を目にした時に得たものだという。スペインの小さな村で起きた誘拐事件が家族の秘密と嘘をあぶり出し、その結末に誰もが息を呑む、極上のヒューマン・サスペンスに仕上がっている。

© 2018 MEMENTO FILMS PRODUCTION – MORENA FILMS SL – LUCKY RED – FRANCE 3 CINÉMA – UNTITLED FILMS A.I.E.

 スペインを代表する世界的スター、ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムによる華麗な夫婦共演もさることながら、何よりスリリングな展開に各方面から絶賛の声が寄せられているようだ。今年最も注目すべき作品といっても過言ではないだろう。

【ストーリー】
 アルゼンチンに暮らすラウラ(ペネロペ・クルス)が、妹の結婚式のため故郷スペインに帰省し、ワイン業を営む幼なじみのパコ(ハビエル・バルデム)や家族との再会を果たす。しかし、その喜びもつかの間、結婚式の後に催されたパーティーのさなかラウラの娘イレーネが失踪。まもなく何者かから巨額の身代金を要求するメッセージが届き、ラウラは絶望のどん底に突き落とされる。パコは時間稼ぎに奔走し、ラウラの夫(R・ダリン)もアルゼンチンから駆けつけるが、疑心暗鬼に陥った家族の内に長年隠されていた秘密が露わになっていく……。

 試写会終了後、興奮冷めやらぬ観客から盛大な拍手で迎えられ、新潮社出版部長で編集者の中瀬ゆかり氏とフリーライターの高橋ユキ氏がトークライブに登壇した。

左:中瀬ゆかり氏、右:高橋ユキ氏

 ファルハディ監督の大ファンであり全作品を見てきたという中瀬氏は、かつて編集長を務めた『新潮45』などで数々のドス黒い事件を取材してきた「事件マニア」でもある。一方の高橋氏は、2013年に山口の集落で起きた連続殺人放火事件を2017年に取材したルポ『つけびの村』が最近になってSNSを通して話題を呼び、書籍化も決定したばかり。

 本作は、この「つけびの村」を彷彿させるスペインの田舎で起きた事件がテーマとなっている。両氏は、閉鎖的な村社会の恐ろしさと本作を照らし合わせながら、ゾッとするような「村コワ談義」を繰り広げた。

■ストーリーを読み解くカギは「村の噂話」

© 2018 MEMENTO FILMS PRODUCTION – MORENA FILMS SL – LUCKY RED – FRANCE 3 CINÉMA – UNTITLED FILMS A.I.E.

 高橋氏は、本作と『つけびの村』の共通点について「事件に村の噂が作用している」と指摘する。一方の中瀬氏は、本作を「ファルハディを観ていない人にとって一番入りやすい作品」としたうえで、村の閉鎖的な環境から“出て行ける”者と“出ていけない”者との対比について言及。「村に残らざるを得ない者は、この事件を昨日起こったことのように、ずっと囁き続ける未来を想像させられた」としみじみ語った。

 ここで、高橋氏が『つけびの村』について簡単に解説した。2013年の夏、限界集落に住む60代の男が、ある夫婦を殺害して家に火をつけ、そのまま別の家に入って1人を殺害すると再び火をつけた。さらに翌日にも別の家に忍び込んで2人を殺害。一昼夜のうちに合計5人が殺され、2軒が放火された。

高橋ユキ氏

「平成の八つ墓村」とも呼ばれるこのおぞましい連続放火殺人事件は当初、単に頭のおかしくなった男が凶行に走ったものと考えられていた。しかしその後、どうやら加害者が村人たちから陰湿なイジメを受けており、村八分の状態にあったことが引き金ではないかと騒がれ始める。

 高橋氏は、本件の取材に至るキッカケについて「村人たちから嫌がらせを受けていたという加害者の話は思い込みであり、妄想性障害だと判断されてしまっているのですが、本当はどうだったのか、気になって取材しました」と明かす。

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