「牛に”穴を開けて”謎の実験」欧州最大の動物研究センターの研究がヤバいと炎上! 巨大鳥や重病ブタも… 動物愛護団体が非難

 この牛に開けられた穴だが、これは研究者が牛の消化器系内部を見るための「ルーメン瘻」(rumen fistula)と呼ばれるもので、外科手術によって作られる。このルーメン瘻は、家畜業界では1920年代から行われており、獣医学校でも頻繁になされる処置だという。

 研究センターは、この穴を作ることで牛の胃の働きや、牛が特定の食物をどれだけ速く消化できるかを見ることができると説明する。またこれらの牛は、窒素排出量の削減、より健康的な乳脂肪、温室効果ガスに関する実験に役立っているとも述べる。

 米国のイリノイ・カレッジ・オブ・ベタリナリー・メディスン大学の大型動物内科専門家であるブライアン・アルドリッジ教授は、畜産農業業界誌の「Modern Farmer」に、この手術は約1時間半でできる簡単なもので頻繁に行われていると答えた。また米コーネル大学の大型動物外科教授のスーザン・ファビーニ博士は、このルーメン瘻は牛の寿命や健康には影響しないと断言する。

「牛に穴を開けて謎の実験」欧州最大の動物研究センターの研究がヤバいと炎上! 巨大鳥や重病ブタも… 動物愛護団体が非難の画像3
「Norwegian University of Life Sciences」より

 

■牛は“牛乳生産機”でしかないのか

 このルーメン瘻の処置に反対の立場をとるテレビ番組のプレゼンターは、この施設には牛だけでなく、歩けないほど太らされたニワトリ、小さなケージの中に閉じ込められた重病のブタや子牛、そしてウサギもいると憤る。そして「この企業にとって、牛は生産を最適化する牛乳生産機でしかないのです」と語気を強めている。

 他にもこの施設には実験動物として、子牛や豚、ウサギなどの動物が冷たい金属の小さな檻の中に隔離され、そこから一生出ることはないと視聴者に語る。

 最近、トカナの記事にもなった『「羊の毛刈り」現場で起きた激しすぎる動物虐待! 殴る蹴るの暴行、血まみれボロボロの羊たち… 告発動画がエグい』のように、家畜を酷い方法で扱う映像が報道され始めている。しかし、これはあくまでも氷山の一角であると思われ、畜産現場での家畜の扱いについて、人々から非難の声が高まっている。

「牛に穴を開けて謎の実験」欧州最大の動物研究センターの研究がヤバいと炎上! 巨大鳥や重病ブタも… 動物愛護団体が非難の画像4
「The Sun」の記事より

 この「腹部に穴を開けられた牛」映像も、我々にはショッキングである。しかし施設側は、牛の排出するメタンガス削減や、ミルク生産の研究のためという有益な理由があると主張する。もちろん、牛がおなかに穴を開けられて喜んでいるはずはない。動物虐待の線引きの難しさを考えさせられるニュースであった。

参考:「The Sun」、「Norwegian University of Life Sciences」、「Modern Farmer」、ほか

文=三橋ココ

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