■家出少年、写真と出会う
——最初に写真に惹かれた時期、きっかけを教えてください。
水島 中学生時代に家出をした時です。その頃は、学校には行かなかったし家にもいたくなかったから、地元にいくつかあった溜まり場に行って友達と遊んでばかりいたんです。家出も散発的に繰り返していて、初めて家出をした時に、偶然、地元の先輩が僕のことを見つけてくれたんです。先輩は18歳で、僕と同じように家出の途中だったみたいで、『だったら一緒に行動しよう』っていうことになったんです。
——ご両親との関係がうまくいっていなかったんですか?
水島 そういうわけでもないんです。ただ、すごく厳しく勉強をさせられていて、それが嫌だったんです。小学生の頃から塾に通わされていて、勉強そのものが嫌で。でも、家出をしてからはガラッと変わって「好きにしなさい」って。割と理解のあるいい親なんです。
——家出の期間はどんな生活を?
水島 先輩は日雇いの現場仕事をしていたから、ご飯をご馳走になったり、先輩がいない時はコンビニの廃棄品をもらって食べたりして生活していました。そうこうするうちにいろんな人との繋がりができて、たまたま行ったヤクザの組長の息子さんの部屋の壁に掛けられたコルクボードに、友達の写真がバーッと貼ってあったんです。初めて写真は面白いって思ったのはそれを見た時です。
——コルクボードの上に並んだ写真のどんな所に面白さを感じたのでしょう?
水島 知らない人たちが写った写真の中に、僕が写っている写真もあって、見ていると、知らない人とも仲良くなれた気がしたんです。全員が繋がっている感じがして。それと「写真ってカッコいい」って単純に思いました。一緒に家出をしていた先輩が偶然「写ルンです」で写真を撮っていたんですね。その写真を見ていて、僕もやりたいと思い、「写ルンです」を買って撮ってみたんですよ。お金がなかったから現像できなくて、そのままなくなっちゃったけれど。