誰も知らない「ガソリンの怖すぎる威力」を亜留間次郎が科学的に解説! 人体への影響、破壊力、兵器化…歴史が証明するガソリンの闇
■ガソリンはなぜ生まれたのか
作るのに手間がかかる危険物であることを承知でガソリンが作られたのは、それなりの歴史と理由があります。
近代化と共に、石炭で動く蒸気機関が登場して蒸気船や蒸気機関車が生まれました。その後、石炭ガスで灯るガス灯が誕生すると、都市ガス会社が町中にガスを供給するガス管を設置しました。
明治30年代を過ぎるとガス灯のガスで動く小型軽量なガスエンジンが登場しました。小型軽量な上に燃料がガス管によって無尽蔵に供給されるので重い石炭を運ぶ必要がなく、運転するのに石炭をくべる作業員なども不要なため、多くの工場で利用されました。
石炭ガスは気体なので配管によって送るのには適していましたが、これを燃料にした乗り物を作るのは、ガスタンクが存在しなかった時代では不可能でした。
そこで、ガスで自動車を走らせるのが無理なら、ガスエンジンを動かすことが出来る液体燃料を作ればいいじゃないという発想で生まれたのがガソリンです。日本語で「揮発油」と呼ばれるほど蒸発しやすい特性は簡単に気体(ガス)になる液体燃料が欲しいという理由から生まれました。
こうして専用燃料であるガソリンの発明によって、ガソリンエンジンは小型軽量、高出力、低コスト、大量生産が可能なエンジンとして世界中に広まりました。
船や機関車など大型の乗り物ではその後も長く蒸気機関が使われ続けますが、オートバイや自動車のような小型の乗り物や飛行機のような極端に軽く作る必要のある乗り物を動かせるエンジンは、長いことガソリンエンジンしかありませんでした。
現在ではタクシーやバスなどのLPG自動車が普通に走っていますが、これはLPG(液化石油ガス)が登場したからです。ガソリン車をLPG車に改造するのが簡単なように、本質的にガソリン自動車のエンジンはガスエンジンから生まれた同質の物です。
LPGがガソリンよりも先に発明されていたら、ガソリンは特殊な化学薬品として一般に流通しなかったでしょう。
そして、ガソリンがいらないディーゼルエンジンの中興の祖とも言えるのがヤンマーディーゼルです。ガスエンジンのビジネスから始まり、世界初の小型ディーゼルエンジンの開発成功によって世界的なメーカーになりました。
ジェットエンジンは軽油の一種であるジェット燃料を使うものが主流になり、ガソリン航空機は減り続けています。
科学の進歩によってガソリンを使わなくても良いエンジンが生まれ、増え続けています。
ガソリンスタンドの価格表示を見るとガソリンは軽油よりも高いです、船舶燃料まで見ると重油は更に安いです。ガソリンが高いのは単純に製造コストが高いからで、ガソリンエンジンは高級燃料を使わなければ動きません。
現代ではエコカー推進によってガソリンで走る乗り物は減り続け、規制される方向へ向かっています。鉄道や船舶にいたっては軽油か重油のみになってしまい、ガソリンで動くものは希少になっています。
■ガソリンの未来
おそらく50年後にはガソリンエンジンは消滅して、ガソリンは殺人にしか使えない危険物として生産自体が無くなるかもしれません。クラッシクカーマニアはガソリン自動車を走らせること自体が不可能になります。
長い科学の歴史の中で見れば、ガソリンは200年間ぐらいしか使われなかった危険物として、過去の遺物として消えていくでしょう。
今回の事件も、もしかすると22世紀には、ガソリンという名前の悪魔がたくさんの人を焼き殺し、貴重な文化遺産が失われた物語として語り継がれているかもしれません。
参考:「慶応義塾大学病院」「東京ガス」「Wikipedia」ほか
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