未だ解明できない1000年前の「プラハ城の人骨」の正体とは!? たった一人の男の骨の謎…ナチスとソ連も魅了された!
戦争や政治、イデオロギーは科学の分野にも大きな影響を及ぼす。1928年、チェコスロバキア連邦共和国(当時)のプラハ城で1体の古い人骨が発見された。プラハ城の歴史を解明するうえで非常に重要な発見だったが、その“正体”をめぐる研究や議論は、当時の政治状況と無縁ではいられず、ナチスドイツとソビエト連邦に政治利用されることとなった。この謎の人骨が20世紀にたどった数奇な運命を、英「Daily Mail」(8月23日付)が報じている。
■歴史ある古城で見つかった謎の骨
1928年7月11日、プラハ城を考古学調査していた考古学者イヴァン・ボルコフスキーらの一行は、偶然、城の中庭の一つで古い墓を見つけた。地表からわずか30センチの深さに埋められた木製の棺の中には、剣や2本のナイフなどの副葬品と共に、一人の男性が眠っていた。
棺はかつて墓地だった場所の片隅に埋められており、当初は塚場だったが11世紀ごろの増築で平らにならされたのだとみられた。遺骨の保存状態は良く、副葬品や埋葬の状態から、西暦800~950年ごろの王家や有力者に連なる戦士であると考えられた。
ただ、この墓の様子は、プラハ城で見つかっていたキリスト教徒の墓とは特徴が異なっており、ボルコフスキーらは研究結果の発表に消極的だったようだ。しかしその姿勢は、発見された人骨がその後たどることとなる数奇な運命の遠因にもなってしまった。
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