表現の不自由展「中止を回避できた方法」を東大教授が公開! ナチスの展示手口にならって…「もう一度、このやり方で開催しては?」

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退廃芸術家とされた作家の一人、フランツ・マルクの『鳥(Vögel)』 (1914) 「Wikipedia」より引用

 というわけで、メタ展示なるものは実現困難ですが、成功例がないわけではありません。ナチスドイツが何度か開催した「退廃芸術展」がそれです。1937年にミュンヘンで、ナチスの推奨する作品を集めた「大ドイツ芸術展」とセットで開かれた退廃芸術展が有名ですね。

 ナチスが推奨する芸術というのは、前向きで健康的な、人体美や労働や家族を称える写実的絵画とか、堂々たる建築とかです。対して退廃芸術とされたのは、いわゆる難解なアートですね。カンディンスキー、ムンク、ピカソ、シャガールなどは軒並み退廃芸術扱い。

 ナチスは退廃芸術展を、メタ展示としてうまく演出しました。絵画を斜めに吊るしたり、額縁に入れず裸で掲げたり、床に放り出して置いたりして、「ずさんな扱いにふさわしい下らん作品ばかり」と露骨に宣伝するような会場作りをしたのです。

 隣で開かれた大ドイツ芸術展に比べ、退廃芸術展は二倍以上の観客が入る大盛況だったとか。そして大多数の来場者は、ナチス宣伝省の思惑通り、展示作品を見て本当にくだらない、あってはならないと慨嘆したのだとか。それはそうでしょう。予備知識なしで、非写実的な前衛作品に感動しろという方が無理な話です。ナチスはもともと、大衆の通俗的気質や生理感覚に訴えかけるのが巧みでしたが、芸術政策も例外ではないのでした。

 そんなナチスの手口に学ぶ(麻生太郎bot)としたら、「表現の不自由展・その後」はどんな企画にするべきだったでしょうか。展示趣旨と展示形式を直結させるとしたら。

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画像は「getty images」より引用

 メタに徹すること、ですね。会期中に寄せられる抗議、脅迫、妨害の類をすべて保存・記録して、展示の一部として付け加えていく――というやり方です。

 企画から開会まで半年あったそうなので、その〈抗議取り込み方式〉を徐々に宣伝していって、世論を慣れさせておくというのは有効だったはず。開会後の炎上も抑えられたことでしょう

 抗議者にとっては、自分の言動が作品として残される自覚を強いられる場になり、反展示の主張を広く発表できるチャンスともなるわけです。そうなると、「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」などという、反展示ならぬただの反社会的な暴言は、他の抗議者から排斥され、封じ込められたことでしょう

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