酔っ払っても個人の道徳観念は変わらないことが研究で判明! 「酒の席だから大目に」は間違い、酔ったアナタも“本当のアナタ”
■酔っていても道徳観念は変わらない
英・プリマス大学の研究チームが2019年7月に「Psychopharmacology」で発表した論文では、VR機器を使った実験を通じて、飲酒は道徳的意思決定に影響を及ぼしていないことを報告している。つまり酒に酔ったからといって、我々の道徳観念は失われていないのである。
48人の実験参加者は、VRゴーグルを装着して目の前で繰り広げられるさまざまな状況下での道徳的判断と道徳的行動が求められる一連の課題を、飲酒前と飲酒後にそれぞれ行った。
飲酒後に行った課題では、参加者の多くがVR映像に登場する人物の表情から感情をくみ取ることが難しくなることが浮き彫りになったのだが、それでも“痛み”を訴える表情には酔っていても敏感に反応できることもわかった。
反社会性を示す“サイコパス度”の高い参加者は、酔うと他者の喜ぶ顔にネガティブな感情を抱き、逆に悲しんでいる顔にポジティブな感情を抱く傾向があることもまた判明した。
飲酒によってやはり人の気持ちがわかりにくくなってくるのだが、その一方で道徳的な意思決定においては、素面(しらふ)の時と変わっていないことが明らかになっている。例えば5人の命を救うために1人の命を犠牲にするのかどうかを問う「トロリー問題」において参加者は、素面の時と飲酒時の意思決定が同じであった。
したがって、酒に酔っていようとモラルの善し悪しは酒のせいにはできないということになり、酔って反社会的な言動に及ぶ者はもともと反社会的なキャラクターであったことになる。酒の席での失態を大目に見てもらうという考えは厳に慎しまなければならないが、いずれにしてもお酒を飲むならあくまでも楽しく飲みたいものだ。
参考:「Science Alert」、「The Conversation」、ほか
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