我々はいくつもの世界に同時に存在している! 世界が分岐しまくっている「多世界解釈」の最先端を解説!
――実在とは?
キャロル氏 実在とはヒルベルト空間におけるベクトルです。これはテクニカルな言い方ですが、実在は1つの量子力学的波動関数によって記述されるのです。
――具体的には?
キャロル氏 我々はテーブル、いす、人、星が時空間を動いているのを見ます。量子力学は、そんなものは無いと言うのです。あるのは、波動関数だけだと。(中略)物理学者や哲学者の仕事は、この世界が波動関数に過ぎないのだとしたら、どうして人や惑星やテーブルやいすが存在するように感じられるのか説明することです。これについて決定的なコンセンサスは得られていません。
――多世界解釈とは何ですか?
キャロル氏 量子力学は、1つの電子は重ね合わせの状態であらゆる場所に存在することができると言います。電子の位置というものは存在しないのです。しかし、電子を観測すると、それは1つの場所にあることが分かります。これは量子力学の根本的なミステリーです。
多世界解釈では、観測者も量子力学のシステムに組み込みます。あなたも量子力学的な粒子から成り立っているのです。観測者が電子を見た時、あなたと電子が重ね合わせの状態に置かれます。ここにある電子とここで見ているあなた、あそこにある電子とあそこで見ているあなたなどと言ったように。エヴェレットの天才は、重ね合わせの異なる状態がそれぞれ実在するとした点です。それぞれの状態は互いに干渉できない諸世界に存在するのです。
――世界が分岐するなら、異なるバージョンの“私”や“あなた”がいるわけですか? 死んでいる者も含めて……。こんな考えは、不安になりませんか?
キャロル氏 子どものときは心配しました。もし世界が存在しなかったらどうしよう、と。それを考え始めると眠ることができませんでした。でも、多世界解釈に実存的不安を感じたことはありません。最近出版した本にもアイデンティティについて書きました。私たちのコピーが多数存在することをどう理解したら良いのか? 彼らのことを気にかけるべきなのか? 私が思うに、答えはほぼ決まって、パラレルワールドは存在しないかのように振舞うべきだということです。(「WIRED」(9月10日付)より引用)
多世界解釈は科学会では異端視され、ほぼ“無視”されているという。ただ、世界の根本的なあり方を考えた時にコペンハーゲン解釈では満足な回答を得られない。キャロル氏も、実在というビッグバンやブラックホールよりももっと奇妙な問いに惹かれたのが、多世界解釈を研究するようになった理由だと語っている。
ところで、パラレルワールドの存在を気にすべきではないとキャロル氏は言うが、それは無理な話だろう。以前トカナでもお伝えしたように、「パラレルワールドが存在するばかりでなく、相互に影響し合っている」とする研究者もいるからだ。もしかしたら、将来的にパラレルワールドの住民とコミュニケーションを取ることも可能になるかもしれないではないか! 今後の研究にますます期待したい。
参考:「WIRED」、ほか
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