幽霊が出没する路線の駅員に聞いた“本当にあった怖すぎる話”! 川奈まり子の実話怪談~終着駅の女~』

川奈まり子の連載「情ノ奇譚」――恨み、妬み、嫉妬、性愛、恋慕…これまで取材した“実話怪談”の中から霊界と現世の間で渦巻く情念にまつわるエピソードを紹介する。

【三十】『駅員・前編 ~終着駅の女~』

 とある私鉄の終着駅に駅員として勤務している男性からお話をうかがった。

 お名前を仮に岡田隆さんとしておく。

 電鉄会社の名前や駅名は伏せるが、東京圏にあり、巨大なベッドタウンからほど近く、同じ路線に幾つかある主要駅のひとつだということは、明かしてもよかろう。乗車客は1日あたり平均約1万人。その多くが通勤する勤労世代だ。

 駅員の基本業務は、改札での精算と案内、出札での各種乗車券または定期券の発売や払戻である。その他に、到着・出発・通過する列車をホームで監視する業務や、急病人対応、喧嘩の仲裁、痴漢盗撮対応、酔客対応――酔客の吐しゃ物や失禁した尿の清掃も含まれる――も担う。

 勤務時間は原則24時間であり、その中で1回1時間の休憩を3回と6時間の仮眠を取ることが定められていて、早番・中番・遅番の3種類のシフトがある。

 たとえば、朝9時半から適宜休憩を取りながら夜の22時半まで働いたら、6時間の仮眠を挟んで、その後、明け方の4時半から朝9時半まで働くわけだ。

 仮眠や食事などは、駅のバックヤードで済ませる。

 岡田さんが働く駅には、ベッドを並べた仮眠室があり、更衣室やバスルーム、賄い付きの従業員用専用食堂が完備されているのだという。

 電鉄会社や駅の規模によって設備の充実度に差はあろうが、いずれにせよ、私たちには立ち入ることができないエリアが存在する次第だ。

 さらに、駅構内各所に設置された監視カメラの映像も、一般客には見ることが出来ない。

 つまり、日頃、何気なく利用している駅には、私たち一般の乗客にはうかがい知ることがかなわない領域が、ふんだんに隠されていたのである。

 ……そして、そこいるのは、駅員だけではないようだ。

 今回、私は岡田さんから、彼の駅のトップシークレットを教えていただいた。

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