統合失調症を劇的改善する薬がついに発見される! まさかの「●●病」治療薬で脳が復活すると判明

■白血病の治療薬が空間作業記憶障害にも有効

 実験に使われたマウスは統合失調症ではないものの、SETD1Aの遺伝子変異が見られ、単純な迷路をうまく抜けられないなどの空間作業記憶障害の兆候を示している個体であった。

 それだけでなく、このマウスの前頭前野は、突然変異のないマウスとは著しく異なっていた。脳の神経細胞から伸びる突起である軸索突起(axon)の発達が十分ではなく、通常のマウスに比べてはるかに短かったのだ。

 ということはこの軸索突起の発達障害を取り除き、修復できる何らかの薬剤があればよいということになるが、もちろんそのような薬はこれまで見つかってはいない。

 研究チームはこの点をさらに掘り下げて調査したところ、LSD1と呼ばれる別の遺伝子のスイッチを“オフ”にすると、SETD1Aの有害な変異はなくなることを突き止めたのだ。ということはLSD1の発現を阻害することで、SETD1Aの変異を食い止められ、空間作業記憶が損なわれずに済むことになる。

 そしてこのLSD1を阻害する薬(LSD1 inhibitor)は、奇遇なことに白血病の治療薬として現在、臨床治験中なのである。

「LSD1阻害薬を投与してから数週間以内に、マウスの記憶機能は劇的に改善されました」と研究チームのメンバーで筑波大学の神経科学者、向井淳氏は話す。

統合失調症を劇的改善する薬がついに発見される! まさかの「●●病」治療薬で脳が復活すると判明の画像3
「Medical Xpress」の記事より

「さらに驚くべきことは、マウスの脳で観察した彼らの軸索突起は、健康なマウスの脳で見られるものと同様のパターンで成長しました」(向井淳氏)

 LSD1阻害薬によって、空間作業記憶が回復し、神経細胞の軸索突起の長さも元に戻るという、統合失調症の治療において有望な発見がもたらされたことになる。

 もちろん、マウスでの研究結果のすべてが人間に適用されるというわけでもないだろうが、大枠としてはきわめて価値のある発見であるだろう。

 研究チームは今回の研究結果をさらに深め、将来的には統合失調症における空間作業記憶障害の治療薬を開発すべく研究を進めている。医学の進歩によってまたひとつ、難病が克服される日が近いようだ。

参考:「Science Alert」、「Medical Xpress」、ほか

文=仲田しんじ

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