右頬が裂けた少女が…!コックリさんよりも怖い「キューピットさま」で本当にあった怖い話! 川奈まり子の怪談「降霊」
さっきは日没が迫ったと感じていた。なのに、あらためて時計を見てみたら、まだ4時にもなっていなかった。校舎や校庭には、先生や生徒が何人も残っていて、遠くから声も聞こえてくるのだった。
叫んだり泣き喚いたり、壁を掌が叩く音を抜きにしても、3人であれだけ大騒ぎしていたのに、誰も駆けつけてこなかったのも奇妙なことだと思われた。
ややあって、気を取り直して、教室のゴミを焼却炉へ捨てに行くことにした。
ゴミを三等分していると、ちょうど雨が降りだした。
いつもなら、1階の理科室の前を通って、校舎の裏口から焼却炉へ向かう。
焼却炉は裏口を出るとすぐのところにあったから、昇降口から出て校舎の周りを回り込んでいくよりも、その方が近道なのだ。
雨が降っていれば尚のこと、1階の廊下を通る方が、濡れずに済むので合理的だった。
でも、このときに限り、多恵さんは一刻も早く外の空気を吸いたくてたまらなかった。
そこで、1階に下りると、「私は外から行く」と2人に告げた。
マキコちゃんとミサキちゃんは、いつものように1階の廊下から裏口へ向かった。
雨に濡れながら早足で焼却炉に向かい、ほどなく到着した。
先に着いているものと予想していた2人の姿がなかったので、すでにゴミを捨てて校舎に引き揚げてしまったのだと思い、急いでゴミを焼却炉に放り込んでいると、裏口が開いて、顔を血塗れにした女の子が出てきた。
右の頬が大きく裂け、鮮血が噴き出している。
正気を失って血走った眼と、目が合った。
多恵さんは泡を喰って逃げた。
無我夢中で校庭を横切り、校門を目指して走った。
どういうわけか、さっきまで何人か生徒がいたはずと思うのに、前後左右、血塗れの少女と自分以外、人っ子ひとり見当たらない。
無人の校庭を果てしなく広く感じた。校門は遠く、行きつく前に何かにつまづいて、激しく転んでしまった。
さっきの女の子が追い駆けてきているのでは、と、地面に転がったまま後ろを向くと、校庭一面に筵が敷かれており、そこに全身いたるところから血を流したり、顔が焼けただれたり、真っ黒焦げの棒切れのようになったりした、生死も定かではない惨たらしいありさまになった人々が数え切れないほど転がされていた。
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2024.10.02 20:00心霊右頬が裂けた少女が…!コックリさんよりも怖い「キューピットさま」で本当にあった怖い話! 川奈まり子の怪談「降霊」のページです。怪談、小学校、川奈まり子、情ノ奇譚、キューピットさまなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで