右頬が裂けた少女が…!コックリさんよりも怖い「キューピットさま」で本当にあった怖い話! 川奈まり子の怪談「降霊」
 気づくと、多恵さんは校庭でひとり横たわって雨に打たれていた。
 あいかわらず周囲には誰もいなかったけれど、辺りを埋め尽くしていた無惨な姿の人たちは消えていた。
すぐにも家に帰りたかった。だが、鞄を置いてきてしまったし、マキコちゃんとミサキちゃんのこ
 とも気になったので、濡れそぼち、芯まで冷え切った体を引き摺って、教室に戻った。
 すると、ミサキちゃんがマキコちゃんの頬に絆創膏を貼っているところだった。
 多恵さんを見ると、急にマキコちゃんが声を放って泣きだした。
 何があったのか訊ねると、ミサキちゃんと一階の廊下を歩いていたら、どこからともなくガラスの破片が飛んできて、顔に当たったのだという。
 まだまだガラスが飛んできそうで、裏口から外に飛び出したら、焼却炉の前に多恵さんがいて、こっちを振り向いた――。
「でも、多恵ちゃんは、大声で悲鳴をあげて逃げてっちゃったんだよ! 私の顔、そんなに酷いことになってるの? 怖い! 怖いよ!」
「ううん!」と、多恵さんは否定した。「絆創膏で隠れるくらいの傷だよね?」
 ミサキちゃんが頷いた。
「うん。浅い切り傷だって、さっきからずっとマキコちゃんに言ってるんだけど、信じてもらえなくて困ってたの」
 ミサキちゃんによれば、マキコちゃんの顔を傷つけたのは、理科室で使っているビーカーが割れたもののようだとのことだ。
 確かに理科室の前を通っているときではあったが、理科室の戸は閉まっていて、投げた者の姿も見なかった。だから、なぜ飛んできたのかはわからない。
 とにかく、ピュンピュンと飛んできたうちの一片が、運悪くマキコちゃんの顔に当たってしまった……ということらしかった。
 怪我の程度はまったく異なるが、切り傷の位置が焼却炉の前にいたときに現れた少女のそれと同じだった。
 多恵さんは、あの少女のことと、校庭で見た景色について、2人に打ち明けた。
 以来、多恵さんは、キューピットさまは無論のこと、コックリさんに似た降霊占いを避けてきた。マキコちゃんとミサキちゃんも懲りてしまったようで、彼女が知る限り、二度とやろうとしなかった。
 マキコちゃんの頬の切り傷は一週間ほどで癒えて、幸い痕も残らなかった。
怪我の場所が符合することから、もしかするとキューピットさまの呪いがかかってマキコちゃんは大変なことになるのではないかと密かに心配していた多恵さんは、胸を撫でおろしたそうである。
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2024.10.02 20:00心霊右頬が裂けた少女が…!コックリさんよりも怖い「キューピットさま」で本当にあった怖い話! 川奈まり子の怪談「降霊」のページです。怪談、小学校、川奈まり子、情ノ奇譚、キューピットさまなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

 
	
 
    





 
   
   
   
			 
			 
			 
			


