右頬が裂けた少女が…!コックリさんよりも怖い「キューピットさま」で本当にあった怖い話! 川奈まり子の怪談「降霊」

 今回、私は、多恵さんたちが通っていた公立小学校の沿革などを調べてみた。

 そうしたところ、大正12年9月1日には関東大震災により校舎が全壊・焼失、昭和20年3年9日にも大空襲に遭い校舎が焼け落ちていることがわかった。

 ただし、関東大震災の日には始業式があり、午前中に式が終了して、皆下校していたため、生徒児童の被害は少なかった。

 第二次大戦の大空襲の折も、小学校の生徒は全員、学童疎開していた。とはいえ、地元に残った別の小中学校の生徒たちが被災して命を落としたそうだから、その中に14歳の少女がいたとしても何ら不思議はない。

 また、都民の空襲体験を収録した『東京大空襲・戦災誌 第一巻』(財団法人 東京空襲を記録する会刊)によれば、この界隈では空襲後、公園や小学校の校庭などに遺体を集めたのだという。だから、多恵さんが目撃した無数の亡骸は、過去の状景の再現であったかもしれないと思った次第だ。

文=川奈まり子

東京都生まれ。作家。女子美術短期大学卒業後、出版社勤務、フリーライターなどを経て31歳~35歳までAV出演。2011年長編官能小説『義母の艶香』(双葉社)で小説家デビュー、2014年ホラー短編&実話怪談集『赤い地獄』(廣済堂)で怪談作家デビュー。以降、精力的に執筆活動を続け、小説、実話怪談の著書多数。近著に『迷家奇譚』(晶文社)、『実話怪談 出没地帯』(河出書房新社)、『実話奇譚 呪情』(竹書房文庫)。日本推理作家協会会員。
ツイッター:@MarikoKawana

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