ついに中国が「人工太陽」完成、2020年に運用開始! クリーンエネルギーの究極系か、遅れを取った日本涙目

■“人工太陽”は人類の“希望の光”なのか

 ではこのHL-2Mはどれほどの高温高圧に耐えられるというのだろうか。

 2018年11月、中国の超伝導電磁石トカマク型核融合エネルギー実験炉「EAST」で、内部のプラズマの温度が1億度に達する試験運用を行っているが、前出のDuan氏によれば、HL-2Mが封じ込めるプラズマの温度は驚くべきことに最高で2億度になると予想されているという。太陽の核の温度は約1500万度だといわれており、この中国の“人工太陽”は本物の約13倍も高温なのだ。

 核融合炉開発については、日本をはじめEU、ロシア、アメリカ、韓国、中国、インドによる国際プロジェクトである「国際熱核融合実験炉(International Thermonuclear Experimental Reactor、ITER)」が2025年の運転開始を目指して進められているのだが、今回の件で中国が単独でITERプロジェクトに追いつき追い越したという格好にもなっている。もちろん中国もITERに参加していることから、ITERプロジェクトは中国が牽引役になる気配も濃厚になったといえるだろう。

 核融合炉は原発と同様に、その運転中には二酸化炭素をまったく排出しないクリーンエネルギーで、水素などといったありふれた資源を利用し、しかも“メルトダウン”などの重大インシデントとは無縁である。

ついに中国が「人工太陽」完成、2020年に運用開始! クリーンエネルギーの究極系か、遅れを取った日本涙目の画像3
「Newsweek」の記事より

 それでも開発や建造に莫大な予算がかかることや、低レベル放射性廃棄物が多く出るなどの問題点もあるということだが、原発とは比較にならないほど安全であると見なされている。クリーンで安全な事実上のフリーエネルギーであるこの“人工太陽”は、混迷を深める人類社会の未来をわずかに照らす“希望の光”なのかもしれない。

参考:「Science Alert」、「Futurism」、「Newsweek」、「Popular Mechanics」、ほか


文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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