「世界滅亡の日」算出で陥りがちな“致命的ミス”とは!? 本当にあった終末予言の計算ミスで人望ゼロになった話!【予言者必読】
■世界の終わりを計算したけれど……!
これに力を得たミラーは、今度は「ダニエル書」第8章14節の次の記述に注目した。
「日が暮れ、夜の明けること二千三百回に及んで、聖所はあるべき状態に戻る」
この「聖所はあるべき状態に戻る」という記述を、ミラーはイエス・キリストが再臨することと解釈したらしい。
キリスト教関係の予言においては、終末において反キリストの出現、世界最終戦争ハルマゲドンの発生、神の千年王国、さらにイエス・キリストの再臨といった一連の事象が発生すると信じられている。したがってイエス・キリストの再臨は終末そのものをも意味することになる。
ミラーはその時期を紀元前457年から2300年後を計算して、1843年という数字を得た。
ミラーがこの予言を発表すると、彼のまわりにはこの予言を信じる何千人もの信者が集まった。ミラーは特定の宗派を樹立したわけではないが、こうして彼の周囲に集まった者たちを、便宜上ミラー派と呼ぶことがある。
しかし、1843年は何事もなく過ぎ去ってしまった。そしてこの時ミラーは、自分が非常に単純な、そして重大な間違いを犯していたことに気がついた。
じつは、紀元前457年から2300年後は、1843年ではなくて1844年になるのだ。
これは紀元前から紀元後にまたがって年代を計算する際に犯しがちなミスであるが、紀元0年という年が存在しないので、紀元前457年から457年後の年は紀元1年となる。したがって2300年後となると、西暦1年から1843年後、つまり1844年となるのだ。
このことに気づいたミラーたちは、予言の期日を1年延期して1844年とした。さらにユダヤの贖罪の日である10月22日という日付まで定め、この日にイエス・キリストが再臨すると宣言した。
もちろん、この予言も外れた。さすがにミラーの信者達も彼から離れたが、その中から多くの新しい宗派が生まれた。そのひとつセブンスデー・アドベンティスト教会は、現在アメリカで最大の信者数を誇る巨大宗派となっている。
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