元ホストが語った「本当に怖い三角関係の怪談」が恐ろしい! 幸せな女を襲う生霊の闇…川奈まり子実話怪談『いきすだま ~去る女~』

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画像は「Getty Images」より引用


 ナナが来てから6日後、貴司さんの記憶が確かなら8月のある日、貴司さんがホストクラブに出勤すると、ナナは親友のセイラをマンションに呼んだ。

 セイラはナナと非常に仲が良く、2人で貴司さんがいるホストクラブに再三遊びに来ていたので、貴司さんとも顔見知りだ。

 その夜は仕事が休みだったナナは、セイラを泊まらせるつもりだと、あらかじめ貴司さんに伝えており、彼も了承済みだった。

 2人は楽しく過ごしたようだった。夕飯のときに少しワインを飲んだだけで、特に破目を外すこともなく、ゲームをしたりテレビを観たりし、あとはずっとお喋りに興じていたらしい。

 後から貴司さんが聞いたところでは、午前零時過ぎに消灯して、寝室のベッドに2人で潜り込んだということだ。

 ナナが貴司さんの携帯電話に電話をかけてきたのは、ちょうど午前3時で、彼はまだ勤務中だった。

 お互い店に出ているときは電話しないルールで、ナナはこれまでこの約束を破ったことが一度もなかった。

 なんだろうと訝しみながら電話に出ると、ナナの泣き声が耳に流れ込んできた。激しくしゃくりあげている。

「どないしたん? 何かあったんやな?」

 すぐに仕事に戻らなければならないので、急いで聞き出そうとしたのだが、ナナは泣いているばかりで、言葉にならない。

 そこで、セイラに電話を代わってもらった。

 セイラも動揺して声が震えていたが、ナナよりは冷静だった。

「さっきけったいなものをナナが見て……うちも怖うて、混乱してるんや。だってナナの首に……首に、手の跡が赤う付いとぉ……いやや、もう、あかん」

「なんやて? まさか誰かに首を絞められた?」

「ナナが言うには、知らんオバサンが上から覆いかぶさってきて、両手で首を絞めたんやって!」

 それを聞いて、貴司さんは、頭を殴られたかのような衝撃を覚えた。

 ナナの首を絞めたのはアケミだろうと直感したので。

 しかし、アケミは別れるとき合鍵を置いていった。念のため、セイラに戸締りを確認させたが、誰かが侵入した形跡は見つからず、物陰にアケミが潜んでいるということもなさそうだとわかった。

 アケミの性格から考えても、今さら戻ってくるわけがないと思われた。

「ナナが言うには、まず金縛りに遭うて、目ぇ開けたら、自分の顔の真上に女の顔があって……驚いて悲鳴をあげようとした瞬間、首を絞められたって……えらい細うて長ぁい指で、痩せた女やったと言うてる」

 ――アケミも痩せていて、手の指が長かった。

 そんな筈はないが、どうしても、その女はアケミだという気がした。

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