誰も書かない「犬鳴村」の裏歴史を考察 ― ヤクザ、稚児落とし、犬神憑き、鳥飼論文、治外法権…
――「真実」とは一体…?
(神ノ國ヲ)実は、「犬鳴村」については、鳥飼かおる氏の『「筑豊」という「場所」から考える、都市伝説「犬鳴村」のイメージ生成について』という学術研究があります。鳥飼論文は、インターネット上の「新名所」の特徴を、実在の地域にありながら「消された」「存在しない」場所であるとします。たとえば、鳥飼は「津山三十人殺し」を描いた「八つ墓村」のイメージの延長線上に「杉沢村」「犬鳴村」「きさらぎ駅」を想定するのです。
同論文では、1970年代から80年代にかけて、当時の犬鳴峠周辺の農家が暴走族対策で「ケモノワナ仕掛中 事故責任は負いません」「ゴミを捨てて帰ると霊が家についてくる」等の看板を立てたとの証言を確認しています。その上で「犬鳴村」が治外法権であることから、柳田國男以来の民俗学における「山人」「サンカ」論を参照し、それが筑豊地方における「泥棒集落」のイメージと重ねられて報道された事実を確認しています。
――その「泥棒集落」が犬鳴村ですか?
(神ノ國ヲ)泥棒集落は、福岡県X町ですね。実は、鳥飼論文によれば、これら筑豊炭鉱地帯と福岡の市街地をつなぐのが「犬鳴峠」であり、さらにその近くに「地獄谷」と呼ばれる場所があったのです。この「地獄谷」は、別名「アリラン集落/アリラン峠」とも呼ばれ、28箇所あったのですが「地図には載っていません」。
これら地獄谷=アリラン峠は、大正時代に日本へ来た朝鮮炭鉱夫らが帰国できないまま暮らした場所です。従って「地獄谷=アリラン峠」は全国津々浦々無数に存在していたと言います。
これが現時点で明らかになっている歴史的事実です。しかし、私はこれらもまだ「真実」からは遠いのではないか、と考えています。
――犬鳴村、霊峰K山、謎の新興宗教にどんな関係が?
(神ノ國ヲ)鳥飼論文が示すように、憲法が通用しない=外国人絡みであるとして、アリラン峠=地獄谷が「犬鳴村」に重なるのは否定できません。しかし四国・九州での「犬神憑き」の歴史、さらに彼らの祖先の一部が修験道者などであったことを考えると霊峰K山の「稚児落とし」や、この地域の謎の新興宗教とヤクザの報告例が少ないのが気になっています。すなわち「犬鳴村の都市伝説」は、福岡や筑豊において古来より存在した犬神憑き系の秘密宗教を隠蔽するためのブラフの可能性があると私は考えているのです。ある特別な能力や身体的特徴のゆえに間引かれた子供たちが密かに生き伸び、修験道者になる。その集落が九州のどこかにあった可能性は否定できません。彼らの末裔は、いまや社会を裏で統べる隠然たる力を持っているかも知れないのです。
参考:「「筑豊」という「場所」から考える、都市伝説「犬鳴村」のイメージ生成について(鳥飼かおる)」
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2024.10.02 20:00心霊誰も書かない「犬鳴村」の裏歴史を考察 ― ヤクザ、稚児落とし、犬神憑き、鳥飼論文、治外法権…のページです。ヤクザ、犬鳴村、アリラン峠、筑豊炭鉱. 泥棒部落、犬神などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで