誰も書かない「犬鳴村」の裏歴史を考察 ― ヤクザ、稚児落とし、犬神憑き、鳥飼論文、治外法権…
「白のセダンは迂回してください」「この先日本国憲法適用されません」「突然プレハブ小屋の前で囲まれて車に斧を振られた」「島根から来た男女が行方不明になった」「島根ナンバーの白い車が破壊されて放置されている」……1988年の焼殺事件、2000年の死体遺棄事件、2001年の死亡事故……。九州最強の心霊スポット「旧犬鳴トンネル」が、いま再び注目を集めている。映画『犬鳴村』上映に伴い入り乱れ錯綜する情報。はたして「犬鳴村の都市伝説」は真実を隠蔽するための陰謀なのか? 歴史の闇に埋もれた真実を宗教・オカルトの専門家・神ノ國ヲが緊急報告!
――そもそも犬鳴村とは?
(神ノ國ヲ)先日、映画『犬鳴村』(2020年2月公開、清水崇監督)を批評家と観にいったのですが、新しい映像表現もあって見どころ満載なので、興味のある人は劇場に足を運んでみてください。
特に注目したのは、映画において「犬鳴村」と、ダムに沈んだ「犬鳴谷村」が混同されて表現されていたことです。おそらく意図的にそうしているのでしょう。そもそも、都市伝説「犬鳴村」は、大衆の目を「真実」から逸らすために作られたものですからね。
――真実から逸らすため? 神ノさんは、この原稿を書くにあたり現地調査もしたそうですね。
(神ノ國ヲ) 現地調査のために部下を派遣しました。福岡出身のラガーマンで、一流私大卒・経済政策の修士号を取ったエリート、いまは税務関係で働くF調査員です。地元も近く、趣味は福岡県内の山登り。そのF調査員が犬鳴山で遭難しかけ、イノシシに襲われそうになるなど、身を案じる瞬間もありましたが、無事に生還しました。F調査員は鳥飼論文(後述)を裏付ける証言を取って来てくれましたが、別件で気になるものがありました。
以下、【F調査員の報告書(別件報告抜粋)】
……ところで別件ですが、霊峰K山にも行ってきました。行き止まりに集落があり、さらに奥へと進む一本道の先には神社があります。さらに進むと「稚児落とし」という崖に出ます。その下には、何かを供養するために地蔵が安置されていました。つい最近まで女人禁制で修験道が盛んな山でしたから「間引き」もあったんでしょうね……。子供が落ちたら犬が鳴くような音を立てて死ぬかもな……と思いました。
また付近の別の山で奇妙な集団を見かけました。新興宗教か何かだと思います。霊山への入り口に結界を立てるために神社を置くことがよくあるので、神社の裏で入山口を探していました。探し歩いて、少し離れたところに出たら、滝の近くに廃屋がありました。下に見える駐車場には、なぜか黒塗りのベンツが大量に停まっていました。明らかにヤクザです。すると、廃屋から坊さんが出て来て歯を磨き始めた。話しかけると入山口を教えてくれました。「ただし、この黄色いロープから絶対に手を離さないように」と。登り始めてすぐに気付きました。あぁ、ここは元々修行のための古道で、少なくない人が死んでいる。ヤクザが来ている理由も察してしまうというか……。
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