「この世は時空を超えた“宇宙精神”が生み出している」シミュレーション仮説に新解釈登場、森羅万象は宇宙による思考の産物だった!
日々の生活に没頭しているとついつい忘れてしまいがちだが、自分がいるということ、何かがあるということ、それを包括する宇宙が存在するというのは不思議なことではないだろうか?
こうした存在するものの全体が現実だと言われているが、現実というものもあまりにも近すぎて、分かるようでよく分からない。自分の手がそこにあることはこれ以上ない現実感を持っているように思われるが、それは単にそう思われているだけで、この思いを離れた手はないのかもしれない。
こうした疑問は中国の思想家・荘司が「胡蝶の夢」として、フランスの哲学者ルネ・デカルトが「我思う故に我あり」として語ってきたものと同型である。そして、現代では「シミュレーション仮説」という名の下、科学者・哲学者らにより真剣に議論されているテーマだ。
現代の代表的な支持者の1人にスウェーデン出身の哲学者ニック・ボストロムがいる。彼によると我々がシミュレーション世界の住民である確率は極めて高いという。議論の概要はこうだ。
ボストロムによると、次の3つのシナリオのうちのひとつが真実であるという。
1、全ての文明は技術的に成熟する前に絶滅した。
2、十分に成熟した技術を持った全ての文明はシミュレーション装置を作る興味を失った。
3、我々人間は実際にコンピュータ・シミュレーション上で生きている。
宇宙というものがただ1つ、我々の宇宙しかないとすれば、シナリオの1も考えられる。しかし、無数の宇宙が存在するとするマルチバースを前提にすれば、あり得そうもない。
2については「知的生命体が知的好奇心を失うことがあるのか」と言い換えることもできるだろう。
サンプルとして知的生命体である人類を見てみると、地球上には多くの大学や研究機関が存在し、宇宙の成り立ち、存在の意味、整数論など、知的好奇心だけがモチベーションの学問が継続的に研究されていることからも、知的生命体の知的好奇心が尽きるとは到底思えない。
また、シミュレーションに関しても、物理学者が宇宙の進化シミュレーションを気が遠くなるほど繰り返していることを考えれば、知的生命体が歴史の再現に興味を持つことは間違いないだろう。よってシナリオ2もあり得そうもない。残るのはシナリオ3である。
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