「この世は巨大な量子コンピュータ」大学研究で結論! 人間は量子情報の最小単位、OSのノイズ程度の存在にすぎない

 グーグルの量子コンピュータが「量子超越性」を実証したとして話題になっているが、最先端の量子物理学の研究によれば、我々のこの宇宙がそもそも巨大な量子コンピューティングの一部であるという。いったいどういうことなのか?

■量子デコヒーレンスは存在しない

 箱の中のネコが生きているのか死んでいるのか、我々が箱を開けて“観察”した時、ネコの生死は“決定”されるというのが、量子論からの説明になる。

 フタが閉まった箱の中にいるネコは“生きてもいれば死んでもいる”という状態にあり、これを“量子的重ね合わせ”の状態と呼ぶ。

 “生きてもいれば死んでもいる”ネコが“観察”されることによってその量子論的性質が消失することを「デコヒーレンス(decoherence)」と呼び、具体的には波動関数が崩壊したのだと説明される。

「この世は巨大な量子コンピュータ」大学研究で結論! 人間は量子情報の最小単位、OSのノイズ程度の存在にすぎないの画像1
「The Next Web」の記事より

 とすれば、我々の“観察”はあたかも強力なレーザービームであるかのように、きわめて強い影響力を及ぼしていることになるのだが、我々の視線は本当にそのようなパワフルで不思議な力を持っているのだろうか。この点を疑問に思ったのがロシアにあるイマヌエル・カント・バルト連邦大学の研究チームである。

 量子論の世界にいる“生きてもいれば死んでもいる”ネコを、“観察”行為でデコヒーレンスに移行させているわけだが、これにはあたかもネコにかけられた魔法を解いて現実に引き戻すというニュアンスも感じられてくる。よくわからない量子論的性質を持ったものを、我々が視線を浴びせることで、古典的な物理学が支配する“現実世界”に連れ戻すことができるという解釈だ。

 しかし研究チームのアルチャム・ユロフ氏らは、古典物理学が通用する世界が“現実世界”であるとするこうした考え方は正しくないのだと主張している。なぜなら我々も、我々がいるこの宇宙も、すべてが量子論的現象であるからだという。

 ユロフ氏らによれば、実はデコヒーレンスといった現象は存在しないというのである。デコヒーレンスによってネコの生死が“決定”したのではなく、我々が“観察”した瞬間、ネコが生きている世界とネコが死んでいる世界の2つに枝分かれしたのだということだ。

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「Scitech Daily」の記事より

 我々の視線に何かミステリアスな力が備わっていたのではなく、この世界が刻々と枝分かれしているのだということで、これはヒュー・エヴェレットの「多世界解釈」と共通する視点となる。

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