意識は電子に宿っている?「全物質は心と経験を持つ」パンサイキズム、意識研究最前線を徹底解説!

画像は「Nautilus」より

 0から1を生み出すことには相当な困難が伴うが、すでにある1を2、3、5、7と増やすことは比較的容易だろう。このことは意識についても言えるかもしれない。

 意識が物質という意識ゼロのものから生まれるとすると、大きな困難にぶち当たる。両者は全く質が異なり、それを媒介するには特殊な第3項が必要になるからだ。18世紀の哲学者イマヌエル・カントは、悟性(知性)と感性(感覚)を橋渡しするために、構想力(想像力)という半分は知性的で半分は感覚的だというご都合主義的な装置を持ち出したが、これはズルである。そして、現代の多くの思考もここから一歩も進んでいない。構想力を創発性(部分の性質の総和にとどまらない全体的な性質の出現)という別のマジックワードで言い換えたところで事態は何も変わらないだろう。

 そもそも物質と精神が全く異なるとする前提、このマインドセットが間違っていると考えるべきだ。そこで一部の科学者や哲学者が注目しているのが、パンサイキズム(汎心論)である。路傍の石から1つの電子まで心を持つとすれば、0から1を生み出す困難は生じない。人間の意識が100だとしたら、犬の意識は50、ダニの意識は1、石の意識は0.1、電子の意識は0.00000001といったように程度の問題にしてしまえば良いのだ。

 海外科学系ウェブサイト「NAUTILUS」(5月14日付)によると、ドイツのミュンヘン数理哲学センターの数学者で物理学者のヨハネス・クライナー氏は、意識の統合情報理論(IIT)というパンサイキズム理論の1つを提唱しているという。同理論は、すべての統合された情報は少なくとも1つの意識ビットを持つとしている。これも意識を程度問題に変換する1つの方法だろう。

 哲学者のトマス・ネーゲルは1974年に「コウモリであるとはどのようなことか」という有名な問いを提起した。その問いに正面から答えることは不可能だが、コウモリの複雑な行動の観察データ、すべての哺乳類と人間の間には遺伝的に近い親族関係があるという事実や進化は段階的に進んでいるという事実から、コウモリには豊かな内的生活があると合理的に推論することができる。同じ論理で、より単純な生物や物質にも、ある種の内的生活(心)を合理的に導き出せるだろう。

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