意識は電子に宿っている?「全物質は心と経験を持つ」パンサイキズム、意識研究最前線を徹底解説!

画像は「getty images」より

 実際にフリーマン・ダイソンやニールス・ボーアといった歴史に名を残す物理学者らも、量子力学の発見から「電子さえ心を持つ」と考えた。能動的な動きを見せる量子状態のプロセスは、人間の心と程度が違うだけで、別種のものではないというのだ。

 また生物と無生物を隔てる境界線も明確ではない。20世紀イギリスの著名な生物学者であるJ・B・S・ホールデンは、生きているものとそうでないものの間に明確な境界線はないという見解を支持し、「最終的には、少なくとも初歩的な形で、宇宙のすべての場所に生命や心を見出すことになるだろう」と語っていた。

 最近では、NASAと協力して地球外生命体の探索に取り組んできたコロラド大学の宇宙生物学者ブルース・ジャコスキー氏も、生命についてこのようなことを言っている。「まるでスイッチがひっくり返ったかのように、地球が生命を持たない状態から生命を持つようになるはっきりとした瞬間があったのでしょうか? 答えは『おそらくない』です。

 現代でも通じるパンサイキズムを構想した人物に20世紀イギリスの数学者・哲学者であるアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドがいる。ホワイトヘッドにとって、電子、原子、分子を含むすべての活動的存在(actual entity)は、少なくともほんの少しの経験、ほんの少しの意識を持つという意味で、「経験の滴り(drops of experience)」とされる。

 ホワイトヘッドは電子のような粒子を時空間という容器の中で動き回る不変のものとしてではなく、1つの電子の連続的な反復活動の連鎖として捉えた。電子は反復において強い類似性を持つが、同一ではないのである。それぞれの反復は、最後の反復とは少し違うため、静的で不変な電子は存在しない。そして反復における“差異”が非物質的なものの場所となるという。この1つの電子が生み出す差異の反復が生物学的進化の過程で複雑化し、心を生み出したというのだ。

 もはや常人の理解を超えた世界であるが、意識をめぐる問いはどんどん深みを増しているようだ。今後意識を巡り、物質主義的な科学の前提を大きく覆す大きなパラダイムシフトが起こるかもしれない。

 

参考:「Nautilus」、ほか

TOCANA編集部

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