「死後さばきにあう」ありえない日本酒銘柄を連発する酒造に潜入!「ビクトル投げからの膝十字固め」も… 超絶センスの秘密とは!?

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喜久盛酒造の蔵本、藤村卓也さん

 絶対にありえないような銘柄のお酒を出していることで知られる清酒製造業、喜久盛酒造(岩手県北上市/創業1894年)が飛ばしまくっている。昨年暮れに発売した「死後さばきにあう」(720ml 1,650円 税込)が発売2カ月で完売になってしまった。

 黒地をベースにして、そこに白い文字で「死後さばきにあう」と書かれ、さらには黄色い文字で「聖書」と書かれているラベルのデザインは強烈だ。どう見てもあの「キリスト看板」の様式に似ている。

 「死後さばきにあう」というのは、聖書にある言葉で、宮城県にあるキリスト教系の団体(聖書配布協力会)がこのような言葉を使って看板を作っていることで知られている。日本全国で見ることができるが、とりわけ東北地方に多い。

「『キリスト看板』は、宮城県にあるキリスト系の団体が作っているものですが、私の地元の岩手県でもよく見ます。岩手県民には馴染み深すぎるものなんですね。ビジュアル的にも黒地に白と黄色で書かれているので、カラーリングも最高です。種類もたくさんありますね。これを作ろうと思ったとき、『キリスト看板』で検索してみたのですが、色々と出てきました。見たことない看板があったりもしましたね。その種類を知る楽しみもありました。実は、これをラベルにするという企画は、随分前からあったんですけど、企画として少し寝かしておいたんですよ」(藤村卓也さん)

 喜久盛酒造は、1894年から酒蔵を続ける歴史ある酒造店で「喜久盛」や「鬼剣舞」といった銘柄の日本酒を長年手がけてきた。造り酒屋5代目として生まれた藤村卓也さん(47歳)が社長に就任すると、びっくりするような銘柄が生み出されるようになった。最初に手がけた日本酒の銘柄は、「電氣菩薩」で、その次が「タクシードライバー」や「嫉み(そねみ)」、「死後さばきにあう」などだ。「死後さばきにあう」の味の方は、日本酒らしい豊潤な味わいがありながらも、酸味がガツンとくるものになっている。日本食にも合う。「ビクトル投げからの膝十字固め」といいうにごり酒もある。ちょっと紹介してみたい。

 「電氣菩薩」は、特殊漫画家である根本敬さんの作品(書籍/2002年発行)からタイトルがとられている。サブカル好きの藤村さんは、東京に住んでいるときに、根本さんの展覧会で顔を合わせていた。面識があったことから、この名前を使うことに快く了承してもらっている。「電氣」とあるが、ビリビリするような舌触りがあるわけではない。柑橘系のいい香りがして適度な酸味もあってフルーティーだ。

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