【追悼】“ノストラダムスの大予言”五島勉は「絶対に人類滅亡する」とは言ってなかった!愛読者が語る「五島氏の本当の凄さ」


 7月21日、ある文筆家の訃報が流れた。『ノストラダムスの大予言』シリーズの著者として知られる五島勉氏である。彼には個人的に強い思い入れがあったため、そのニュースを知ってしばし感慨にふけった。

 シリーズ第1作である『ノストラダムスの大予言――迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日』が刊行されたのは1973年のことだ。フランスの予言者であるノストラダムスが「1999年に人類が滅亡する」という予言を残していたとする本書の内容は、人々に衝撃を与えた。またたく間に評判が評判を呼び、250万部を超えるベストセラーになった。

 特に、当時まだ分別のつかない子供だった世代の人にとっては、そのインパクトは強烈だったようだ。中には、迫りくる人類滅亡を文字通り真に受けて、将来を悲観したり、自暴自棄になったりする者もいた。無類のオカルト好きとして知られる大槻ケンヂもそれを真っ向から信じていた1人だ。勉強嫌いな子供が将来のための勉強をサボるための口実として都合よく使われたりもしていた。

 ノストラダムス直撃世代の若者や子供は、多感な時期にオカルトブームの洗礼を受けた。彼らが生きていた70年代は、日本が経済的に豊かになっていく中で、その光と陰がはっきり浮かび上がった時代でもあった。

 1970年の大阪万博は「人類の進歩と調和」をテーマとして、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国となった日本の明るい未来を象徴するイベントだった。一方、公害問題、泥沼化するベトナム戦争、核戦争の脅威など、進化しすぎた文明の負の側面もあらわになりつつあった。

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