妖怪アマビエを凌ぐ「最強の護符」を発見!「疫病退散を叶える日本の護符ベスト10」を宗教学者の島田裕巳が発表!

 このうち、歴史、規模ともに代表格と言えるのが奥州市水沢の古刹・黒石寺で開かれるものだ。1000年を越える歴史がある黒石寺の蘇民祭は、旧正月7日から翌日にかけて行われる。祭りの5つの行事の最後を飾るのが、五穀豊穣の地を占う蘇民袋争奪戦だ。袋には「蘇民将来子孫門戸也」と書かれた六方形の護符が入っており、東西に分かれた若者たちが、真冬の凍てつく寒さのなか、この袋を激しく奪い合う。

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画像は「奥州市公式ホームページ」より引用

 祇園祭などの全国の厄除け祭りが新型コロナウイルスの影響を受け中止や縮小に追い込まれるなか、黒石寺をはじめとする岩手各地の蘇民祭は、1月から3月にかけて、例年通り決行された(3月17日の早池峰神社は神事のみ行い、蘇民袋争奪戦は中止)。その後、岩手では7月下旬まで感染者が出ることはなかった。「蘇民将来」や人々の祈りのパワーは2020年も健在だったのだ。

 岩手の地元紙では、「極寒に水垢離や火の粉で身を浄める蘇民祭は不思議な力を持っている」とする蘇民祭保存会関係者の声も伝えている。ちなみに、岩手では一関地方の神社が六芒星型に配置されて結界になっているという説も浮上し、別の地元紙がとりあげている。島田氏は「科学が発達したとはいえ、現代の私たちが俗信と無縁になったわけではないことも事実です」と語り、こう続ける。

「護符はただの迷信であるとも言えますが、社会不安が著しく増大した状況におかれてみると、昔の人々が疫病除けに頼った気持ちも理解できるでしょう」(同)

 ウイルスの正体こそわかっているものの、出口が見えない日々はまだまだ続く。祭りの開催も難しくなっている現在、護符に祈りを託した先人たちの知恵を拝借するのがベストなのかもしれない。

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画像は「Amazon」より引用

文=宮田文郎

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