「数十年も引きずる」トラウマ級に怖い“少女ホラー漫画”を編集者が紹介! 眼球ブッ刺し、思春期女子の闇、血飲み、惨殺…!

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私たちが震えた 少女ホラー漫画』(辰巳出版)

「少女のころに出会ったトラウマ級ホラー漫画の恐ろしさを、もう一度味わいたい」――。そんな思いに応えて発売された『私たちが震えた少女ホラー漫画』(辰巳出版)。後編では、本書を編集した光元志佳(みつもと・ゆきか)さん選出、本当に怖い少女ホラー漫画の数々を解説してもらう。

※ 少女ホラー漫画の歴史とエグさに迫る前編はコチラ!!


■トカナの男性読者には関よしみ作品を推薦!!

――今回は、本を編集するにあたって少女ホラー漫画を読み漁ったという光元さんがオススメする少女ホラー漫画を教えてもらいたいと思います。トカナには男性読者もいますので、まずは初心者向けの作品をお願いできますか?

光元志佳氏(以下、光元)  ホラー作家といえば、一般的には犬木加奈子、楳図かずお、伊藤潤二、御茶漬海苔、日野日出志などが思い浮かぶと思います。ただ、少女漫画のホラー作品を男性などの初心者に私からオススメするなら……、関よしみ先生の作品ですね。デビューは1980年ですが、“パニック劇場”と称される作風の原点である1993年発表の「魔少女転生」をはじめとした1990年前半の作品を推したいと思います。

 最初の1ページ目から眼球に刀が刺さり、10ページ後には、おじさんの両目に木の枝が刺さる。凄惨でありながらもどこか乾いていて、細部にこだわる割にはねちこくない関先生作品は、男性にもオススメです。また、「血を吸う教室」は、いじめられっ子が、クラスメイトを教室に閉じ込めて殺し合いをさせる話なんですが、あの『バトル・ロワイアル』が世間を席巻する5年前の作品なんです。ホラーは、エロやギャグと紙一重だと思います。関さんの作品は、ちょっとやりすぎな表現があったとき、恐ろしいのにクスっと笑えてしまうユーモアもあります。その辺りも初心者向けだと思います。

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――では、光元さんが実際に読んで怖かったオススメ作品を教えてください。

光元  変わったところでは「はいからさんが通る」で有名な大和和紀先生の「影のイゾルデ」は、ホラーではないのですが、ゴシック・ロマンのような作品で、とにかく怖かったですね。今回は掲載できませんでしたが、物語の鍵となる黒猫の影が描かれるだけでもうゾクゾクっとしてました。これも掲載していませんが、「ベルばら」の池田理代子先生「妖子」も、死刑囚の女が悪魔と交わって生まれた娘という設定からグイグイと引き込まれて、都合の悪い人物を容赦な殺す妖子に怯えたのを覚えています。

 あとホラー漫画って心に残っているんだなと改めて実感したエピソードがあります。私が今回の本のために歯医者さんで篠原千絵先生の「海の闇、月の影」を読んでいたら、待合室を横切った女性歯科医の先生が「それ、ものすごく怖い漫画ですよね! 大好きでした。もう一度読みたくなっちゃった!」と急に声をかけてきたんです。びっくりしましたね。また本書を一緒に作っていたライターさんは、大の少女漫画好きですが、怖いシーンのページはホッチキスで止めて耐えていたそうです(笑)。それほど、少女漫画のホラー作品は、少女たちを恐怖のドン底に突き落としていたわけなんですよ。

 ほかには、「黒の組曲」や「闇は集う」で知られる松本洋子先生、美内すずえ先生の「白い影法師」、山岸凉子の「汐の声」をトラウマ漫画に挙げる方も多いです。

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