ついにワームホールを“安全に通り抜ける”方法が発覚! 1万光年を1秒で移動、カギは5次元宇宙だった!(最新研究)

■ワームホールを抜けて1万光年を1秒で移動

 マルダセナ教授らが言う5次元の観点とは何か。それは「ランドール=サンドラムII(Randall-Sundrum II)」モデルである。

 ランドール=サンドラムIIモデルは、もともとは素粒子物理学の階層問題を解決するために提案されたものだが、宇宙を5次元で説明した。そしてこの5次元の宇宙では“負のエネルギー”が存在している。この負のエネルギーによってワームホールが安定して保たれるのだという。つまり通過している間にワームホールが崩壊するといった惨事を防ぐことができるのだ。

 そして、この負のエネルギーでワームホール自体の重力が通過する宇宙船を加速させるため、動力を停止したままで光速を超える速度での移動が可能になるという。例えば天の川銀河を横断する距離の移動をわずか10秒で可能にする。

ついにワームホールを安全に通り抜ける方法が発覚! 1万光年を1秒で移動、カギは5次元宇宙だった!(最新研究)の画像3
「Mysterious Universe」の記事より

「ワームホールを通過する宇宙飛行士にとって、1万光年の距離(つまり天の川の1/10の距離)を移動するのにかかる時間はわずか1秒です。ワームホールを通過せずに外にいる観察者は、1万年以上かかっているのを目にします。重力が宇宙船を加速および減速するため、これらすべては燃料を使用せずに行われます」(研究チーム)

 まさにSFの世界に登場する便利な移動手段としてのワームホールが成立したかのように思えるが、話はそうトントン拍子で進むものではないという。

 まず第一に負のエネルギーで満たされた安定した都合のよいワームホールが一定数存在するのかどうかという問題や、さらに宇宙が冷たくて平らである場合にのみワームホールが安定して存在し得るということなどが挙げられるという。また、ワームホール内を光速を越えて移動する過程で浴びる宇宙放射線の膨大な被ばく量も危険なリスクになるという。

 しかしながら理論上であれ、ワームホールを通り抜けて“近道”しながら宇宙旅行が将来可能になる道が残されているのだとすれば、子どもの頃の夢が覚めることはないだろう。


参考:「Mysterious Universe」、「Universe Today」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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