「魚にエサをやる」という“最強の快楽行為”を村田らむが取材! 人間の根源的欲求を叶える南郷水産センターへ!

 入り口には『さかなと遊べるパラダイス』と書いてある。なかなか胸ときめくキャッチコピーである。

 大人400円なりを払って、園内に入る。安いが、場内で遊ぶとそれぞれにお金がかかる。

 コイの釣り堀、船の釣り堀は時間無制限完全リリースで700円。ルアーフィッシングは3尾キープできて2時間2000円~。金魚、フナ、鮎のつかみどり20分300円~と気軽な値段で遊ぶことができる。

 園内に入ると、コロナ禍なのに結構人が多いのに驚いた。

 圧倒的に子連れの若い家族が多く「キーキー!! キャーキャー!!」と子供の叫ぶ声が聞こえてくる。

 すぐにでもエサを上げたい気持ちを抑えて、まずは入り口近くにある水産資料館に入ってみた。建物には『さかなとびわこ』と書いてあった。見るからに古い施設だ。

 館内に入ると大きな水槽がドンと置かれていた。槽内はかなり藻が発生していて見えづらいが、ゆらゆらとコイやブラックバスなどが泳いでいる。不気味である。

 部屋には琵琶湖の水産の様子や問題点が壁に貼られている。内容は琵琶湖の環境を保つためにどのような活動をしているのかが解説している。大量の外来種やカワウが駆除されている、なかなか興味深い展示もあるのだが、紙のボードなので、全体的にフニャーと曲がっていてだらしがない。

 他には、水槽や古い魚をとる道具などが展示されているが、お客さんはほとんどいない。

 まあ9月の天気の良い日に遊びに来た子供が、わざわざこんな地味な展示見ないか。

 もう1つ人気のないコーナーは、チョウザメの展示だった。チョウザメといえば貴重な古代魚である。卵はご存知キャビアである。そんな珍しい魚が外の丸いプールを泳いでいたら見たいだろう。ただチョウザメは上から見るとものすごい見づらいのだ。

 魚は目立たないように進化したのだから、見えづらくて当たり前なのだ。少し離れたところから見ると一匹もいないように見える。ジッと見ているとプールの底を這うように何匹ものチョウザメが泳いでいるのが見えた。エッシャーの騙し絵のように不気味で、背筋がゾクゾクッとした。

 そして釣り堀のコーナーなどは家族連れでずいぶん盛り上がっていた。

 ただ家族もいないし、子供がいる場所に近寄って変態扱いされてもかなわんので、サラッとスルーする。100円の粒状のエサと150円の棒状の麩を大量に購入し、いよいよ鯉の鑑賞池に向かった。

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