「魚にエサをやる」という“最強の快楽行為”を村田らむが取材! 人間の根源的欲求を叶える南郷水産センターへ!

 池のフチに立ち、パラパラ~っとエサを撒いてみる。たくさんの黒い魚影と少数の赤や金色の派手な魚影がみるみる集まってくる。

「ぎゅぼ!! ぎゅぼ!! ぎゅぼ!! ぎゅぼ!! ぎゅぼ!!」

 というバキュームな音がたくさん聞こえてくる。鯉たちが、エサごと水を吸い上げているのだ。みんなパクパクと漫画のように口を開けていて滑稽だが、やや怖い。

 ちょっとビビリながらもそれでもエサをやり続けると、ますますたくさん集まってきた。完全に密な状態になり、鯉と鯉の間にほとんど水がなくなってしまった。それでも上から鯉にふりかけるようにエサを撒いてみると、後ろにいた鯉たちが仲間の上をよじ登り

「ぎゅぼ!! ぎゅぼ!! ぎゅぼ!!」

 と鯉の頭ごとエサを吸いはじめた。

 身体全体が魚たちの上に乗っかってしまっているヤツもいる。人気パンクバンドのモッシュ、ダイブ、ありありのライブのような有様だ。

 太陽光が反射して鱗がヌメヌメと光る。

 食事をする時彼らの目は、できる限り下を向いている。それがなんだか半眼に見える。

 半眼でヒゲがあって、なんだか仏陀を想起してしまった。ヌメヌメと光る再誕の仏陀たちがぎゅぼぎゅぼとエサを吸い上げる様子は異様だ。案の定、

「うわーん!! こわいー!!」

 と小さい子が泣きはじめた。

 通りすがりの60代くらいのおばさんは

「なんや、あんなに貪って!! えげつない!! 餓鬼やな、餓鬼!!」

 と、鯉に対して憤慨していた。

 魚相手に怒ってもしょうがないだろう。

 ちなみに鯉以外にもエサをあげられるコーナーはある。『そうぎょ、あおうお、はくれん』と説明がある鑑賞池にいる魚は、どれもちょっとビビるくらい大きい。

 鯉ほどはがっつかないのだが、たまにバシャーン!! と大きく跳ねる。池のフチに立っていると、全身がビッシャビシャになるくらいの水が飛んできた。

 金魚も網越しにエサをあげることができたが、迫力不足のせいかあまり人気はなかった。

 エサやりはあんまりにも楽しくて、思わず1200円ぶんもエサをあげてしまった。

 入場料の3倍である。

 しかし散財したものの、今まで溜まってきた『エサやりたい欲』を全部吐き出せてスッキリした。

 エサやりたいぜ!! と日々ムラムラしている人はぜひ滋賀県を訪れよう!!

参考:「南郷水産センター

文=村田らむ

ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)など。

Twitter:@rumrumrumrum

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