タイの「エイズ寺」に村田らむが潜入!HIV患者受け入れも「展示をやめろ」…感染赤子ミイラや男性器切断ミイラも展示!

――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!

 2018年、タイ『死体』を展示したミュージアムがあると聞いて、足を運ぶことにした。

 タイは、ずいぶん昔にサムイ島に2回旅行して以来になる。そのうち一回は取材旅行だったのだが、同行したライターが日本に帰ってきてすぐにさらわれて、殺されて、東京湾に沈められたというサスペンスな出来事が起きた。そのため、なんだかタイの思い出までもサスペンス劇場の一幕みたいになってしまっていた。

 20年近く経って、やっと訪れることができて嬉しかった。

 そのミュージアムは、パバナプ寺に併設されていると聞いた。ガイドが運転する車でバンコックからひたすら北に進んで行った。

 しばらく走るとすぐに田舎になった。のどかな風景を見ながら、ひたすら3時間走っていった。

 寺院の中に入るとすぐに

『AIDS』
『HIV+』

 と書いてある看板が見えた。

 その横には、ケタケタと笑っているような人形もいる。

 ものすごく気になるが、ガイドに、

「まずは寺院を参拝しましょう」

 と言われた。想像してたよりもはるかに大きい寺院だった。

 長い階段には灯籠を持った像がズラリと並んでいる。キーキーと鳴き声が聞こえたので見ると、猿が像に登っていた。

 ここいら一体は、猿が多い地域なのだそうだ。ほど近い遺跡にも寄ったのだが、大量の猿がキャッキャと跳ね回っていた。

「帽子やアクセサリーを盗んでいく猿もいるので気をつけてください」

 と言われて、慌てて帽子などをカバンにしまった。ゼイゼイ言いながら階段を登り終えると、屋外で座禅を組む白い大仏像が出てきた。赤と金で塗られたきらびやかな建物だ。

 日本でこんな寺院があったら、

「どこのカルト団体じゃ?」

 と思うが、タイの風土の中ではとても自然な色彩に見える。

 現在新たに建て増しされているところだった。作業をしている人たちの間を、よろよろと犬が歩いていた。

 坐禅を組む僧侶もいた。僧侶の周りにはたくさんの供物が積まれていた。この寺院は全てボランティアで成り立っているのだそうだ。寄付された大量のペットボトルの水が、施設内に積まれていた。

 頭が3つあるゾウや、トラやウシや想像上の動物にまたがる神様の像などが設置されていて見学していて飽きない。

 ただ、これだとただの寺院観光である。

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