日本の医療崩壊を救うキーワードは「謎の床屋外科」!? 奇妙な歴史からみる医師不足の原因

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【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】

■ギルドからカンパニーへ

床屋外科カンパニーの紋章。当時の外科病院は入口にこの紋章を掲げていた。画像は「Wikipedia」より引用


 昔の医学界では内科のことを「本道」と呼んだぐらいで、「内科医こそが医師」という認識でした。

 近代以前の欧州では床屋が外科医を兼業しており、床屋のマークであるサインポールはその時の血と包帯の名残という話がよく出ますが、「床屋外科(Barber surgeon)」という名称から、昔は床屋が外科医を兼業していたというのは誤解です。政治的な権力闘争の都合で、外科医ギルドが床屋ギルドに吸収合併され、床屋が外科医よりも上位の身分になってしまったことが原因です。

 イギリスでは1308年に床屋ギルドが設立されました。1368年に外科医ギルドが誕生していますが、その当時は床屋と外科医は全く関係の無い別組織でした。しかし、1500年代に入るとギルドの力が弱まり「リヴァリ・カンパニー」という組織へと変化していきます。

■悪王現れる

 1540年、稀代の悪王として名高いヘンリー8世が床屋と外科医と歯科医のギルドを合併させ、「床屋名誉組合(Worshipful Company of Barbers)」という外科医および歯科医を含む床屋が所属する組織ができました。

 この時代を最後に、日本で馴染みのある「ギルド」という組織は消えて、リヴァリ・カンパニーという組織になりました。

 問題はこの時に外科医と歯科医と床屋が混ざってしまい、「床屋外科」という名称になってしまったことです。リヴァリ・カンパニーには序列が決められていて、床屋外科は17位でした。

床屋外科憲章を授与する式典。1540年に国王ヘンリー8世が初代マスターであるトーマス・ヴィカリーに床屋外科憲章を授与する式典の絵。画像は「Wikipedia」より引用


 なんで床屋が外科医より偉いのか? 現代人の感覚からすれば逆にしか見えませんが、そこには宗教上の理由があります。当時の床屋は教会の修道士の為に働く聖職者の補助職という位置づけがあり、社会的地位が高かったのです。それで床屋ギルドの序列は高く外科医ギルドよりも上で、合併すると床屋が前に来て外科医が後に来ることになりました。しかし、このギルドの初代ギルドマスターは外科医で、その後も外科医がギルド幹部を占めています。

画像は「Wikipedia」より引用

 宣教師ザビエルといえば頭のてっぺんが禿げ上がっている絵が浮かぶかと思いますが、あれは禿げていたわけではなくトンスラと言って、日本の僧侶が頭を剃っていたのと同じで、当時の宣教師には宗教的な意味のあるヘアスタイルだったのです。そのため、教会は西暦1300年ごろには髪の毛を剃るための床屋を雇うようになっていました。

 この当時、瀉血と言う皮膚をカミソリで切って血を抜く疑似科学の治療法が流行っていました。当時の聖職者は身を清めるために瀉血する習慣があり、床屋がこの瀉血も行っていたのです。

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