韓国ドラマは全て「ウソ」なのか ―― 韓国の悲惨な現実『韓国の若者』著者・安宿緑が語るヘル朝鮮の詳細
ーー最近話題の韓国ドラマ『梨泰院クラス』で、主人公の好きな女性が、主人公の敵である大企業に、そうと知りながら就職してしまうんですが、好き嫌いを言っていられないくらい大企業に入ることが重要なんですね。
安宿緑 入社できるチャンスがあるなら、入らないという選択は考えられないと思います。大企業なら年収1000万円以上、それ以外の中小企業は30歳で年収200~300万円と、生涯賃金が大きく違いますから。
しかし大企業に入れば一生安泰かといえばそうではなく、多くの人が45歳くらいで退職推奨をされます。そのため大企業に入り、早期退職して退職金でチキン屋を経営するのがそこそこの人生コースとされています。
あとは、公務員試験に若者が殺到しています。最下級の9級公務員にでも受かれば一生食べていけますから。大企業か公務員か、学歴社会によって人生のイメージが固定されてしまってるんです。
■高学歴から低学歴まで続く地獄ロード
ーー大企業に入る以外に豊かに暮らす道はないのが現実なのでしょうか?
安宿緑 親世代の思い込みが強烈で、保守的で閉塞感の強い社会風土があります。
しかし、若者達の中には「他の道もあるんじゃないか」と考え方を切り替えている人も出てきています。大企業に入っても歯車の仕事しかさせてくれないし、早期退職させられてしまう。「だったら年収300万位でも、自分が満足できる仕事をして楽しく生きられればいいや」という人も増えています。ただ、それだと収入が低いため、結婚や出産に手が届かず、諦めようとする若者が多くなっています。
ーー大卒でも就職が難しいということは、中卒や高卒の人はもっと厳しいのでしょうか?
安宿緑 中卒や高卒の人に関しては本当に韓国の闇というか……。本書で取り上げた高学歴貧困者は、まだその苦しみが可視化できるだけマシなのかもしれません。
ーー日本は国民の半数近くが高卒ですし、幸せに暮らしている人はたくさんいると思います。
安宿緑 韓国では国民の7割が大卒なので、高卒は少数派なんです。「えっどうして高卒なの?」と珍しい人扱いになってしまうんですね。
さらに「世襲中産層社会」といって、高卒の親の子供は経済的に大学に進学できなくなっています。経済格差で階層が完全に固定され、下克上が難しい社会になりつつあるんです。
本書では地方の低偏差値の大学に通う人についても書きましたが、地方には地方の地獄があって、高学歴には高学歴の地獄があります。地獄が広範囲に行き渡っているのが今の韓国社会であると、数年間の取材を通じて感じました。
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2024.10.02 20:00心霊韓国ドラマは全て「ウソ」なのか ―― 韓国の悲惨な現実『韓国の若者』著者・安宿緑が語るヘル朝鮮の詳細のページです。韓国、安宿緑、韓国の若者 なぜ彼らは就職・結婚・出産を諦めるのか、就職難などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで