「人間の脳を遠隔装置で破壊する兵器」を開発する悪魔の研究が止まらない! 指向性エネルギー装置と謎の音響攻撃「ハバナ症候群」最前線
■「熱弾性圧力波」なのか
一方、ハバナ症候群には懐疑論もある。
ヤフー・ニュースのワシントンDC支局長で、「イマジナリー・ウェポン(架空の兵器)」という著作も持つシャロン・ワインバーガー氏は、これらの症状については他に無数に説明ができることと、そして医学誌に記載されるような確立された学説がないことを指摘する。そして指向性エネルギー兵器の専門家でもあるワインバーガー氏は、実在するマイクロ波兵器は秘密裏に運用するには大きすぎて、そもそも壁を貫通できないと主張している。
一方、マイクロ波エネルギーの生物学的影響研究における米国の第一人者で、米イリノイ大学電気コンピュータ工学科のジェームズ・リン名誉教授は、エネルギーを小さな領域に集中させ、それをわずかに加熱することで、脳の軟組織に損傷を与える「熱弾性圧力波」の発生には大掛かりな装置は必要ないと述べている。またウェーブバンド社CEOレブロ・サドブニク氏は「バンやSUVに搭載可能なシステムを、大きなスーツケース数個にまとめることは可能で、それを行うのに膨大なスペースや設備が必要なわけではありません」と話す。
熱弾性圧力波は、最初に音として対象者に伝わるという。ハバナ症候群の被害者である米国の外交官、スパイ、兵士、当局者の多くは、攻撃の開始時に奇妙な音が聞こえたと報告している。
米国当局者が被害を受けているとされる熱弾性圧力波であるが、実は2004年に、先のウェーブバンド社が米海兵隊向けに熱弾性圧力波兵器プロトタイプを作成したという記録がある。この兵器のコードネームは「メドゥーサ」で、車に収まるほど小さく、「人間を一時的に無力化する効果」を意図していたが、攻撃対象が死亡、または永久的な傷害が起きる確率は低いという。
その後、この秘密兵器がプロトタイプの段階を超えて開発されたという証拠はなく、その兵器に関するレポートは、米海軍のサイトから削除された。

■「人間の脳機能を遠隔装置で破壊する武器」
このプロジェクトに詳しい科学者は、米国の人体実験に対する倫理的配慮が、このプロジェクトの開発中止に貢献したと述べ、しかしそのような配慮は、ロシアやおそらく中国を含む米国の敵対国にはなされなかっただろうと指摘した。
米ジョージタウン大学医療センターの神経学/倫理学部のジェームズ・ジョルダーノ教授も「米国では、その類の科学は放棄されていないとしても、ほとんどの場合冬眠状態になっています。しかし、一部他国では違うでしょう」という。
米海軍大学のバイオテクノロジー/バイオセキュリティ/倫理の上級研究員も務めるジョルダーノ教授は、約20人の米国外交官がハバナで被害を受けた後、政府によって顧問として迎えられた。彼はその後、どの国がその技術を開発し、何を達成したかについて、アメリカ特殊部隊の評価に参加している。
教授は「旧ソビエト連邦で行われていた研究の一部が、ロシアとその周辺国によって再び取り上げられた」と述べ、中国はさまざまな材料の構造をテストするために、指向性エネルギー装置を開発し、それは兵器に応用できると付け加えた。
2018年には中国で、米国の外交官と諜報機関の職員が脳損傷の被害を受けている。
ジョルダーノ教授は、「どの国がどのような種類の装置を開発したかについて詳細は明らかにできないが、新しい兵器は、灼熱感なしに脳機能を破壊することができるマイクロ波周波数を使用している」と述べている。
「人間の脳機能を遠隔装置で破壊する武器」は、悪魔の研究だ。そしてジョルダーノ教授が述べるように、この手の研究開発は、人体実験に規制や倫理的歯止めを持たない国の方が有利であることも間違いない。はたしてこの悪魔の研究を止められる術はあるのだろうか。
参考:「The Intercept」、「The Guardian」ほか
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2024.10.02 20:00心霊「人間の脳を遠隔装置で破壊する兵器」を開発する悪魔の研究が止まらない! 指向性エネルギー装置と謎の音響攻撃「ハバナ症候群」最前線のページです。マイクロ波、三橋ココ、ハバナ症候群、音波攻撃、熱弾性圧力波、脳損傷などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
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