【重要】「寝ているときに見る夢に広告を流そう」という悪夢のような実験開始! 法的規制はなし…怖すぎる「TDI」の闇!
寝ているときに見る夢に広告を流そうという、耳を疑うような試みが始まっているという。それは『Targeted Dream Incubation (TDI)』と呼ばれる実験的手法で、 参加者にビールの夢を見させる広告キャンペーンが実際に行われた。すでに身の回りにあふれている広告が、今度は夢の世界に進出するというのか。この“悪夢”について、オルタナティブサイト「Mysterious Universe」(6月15日付)が取り上げている。
・Advertisers are Testing Ways to Put Commercials in Your Dreams (Mysterious Universe)
今年2月6日、全米が熱狂するアメリカンフットボールの祭典『スーパーボウル』が行われる前夜、老舗ビール会社クアーズが「Big Game Dream experience」というキャンペーンを行った。それはキャンペーンサイトで配布されたサウンドスケープを聴きながら眠るというもので、参加者にはビールの割引券が配られた。
キャンペーンに使われたサウンドスケープは、クアーズと米ハーバード大学の心理学者デアドラ・バレッド氏が共同製作したもので、聴きながら寝ると自然美しい山中で美味しいビールを飲む夢が見られるという。参加者に翌日のスーパーボウルを観戦するとき、「夢で見た」クアーズのビールを飲んでもらおうという試みである。
では、参加者は実際にビールの夢を見たのだろうか? キャンペーンに参加した英国人ミュージシャンのゼイン・マリク氏は、「クアーズの缶でできた巨大ロボットが小川の流れる丘を歩いている夢を見た」と語っている。マリク氏は当初、この試みにかなり懐疑的だったようだが、実際に夢を見て、思ったよりうまくいったことに驚いていた。
TDIを使った広告は過去にも行われているといい、Xboxやプレイステーションがゲームと夢を使ったキャンペーンを実施したこともあるという。テトリスにハマっていたとき、夢の中でもテトリスをやっていた……なんて話は珍しくない。では逆に、夢の中でテトリスをプレイしたら、現実でもテトリスをやりたくなるのだろうか? これまでの実験によると、どうやらその答えは○のようで、夢の中身が実際の購買行動につながる可能性が指摘されている。
改めて言うまでもないが、睡眠は心身の健康はもちろん、記憶にとっても重要な行為である。睡眠中に見ている夢は、古い記憶と新しい記憶を整理・位置付けする、脳にとって重要なプロセスであると考えられている。その夢をハックして広告を流すことは、倫理的・道徳的に大きな問題を秘めているのだが、覚醒時に見るサブリミナル広告と違って現在のところ規制はない。一部の心理学者らはTDIの危険性を訴え、早期の議論と規制が必要だと訴えている。
夢の中でまで広告を見せられるのはまっぴらだ。しかし、スマートスピーカーが爆発的に普及する中、いずれ寝ている間に自動的にサウンドスケープ広告が配信されるようになるかもしれない。心理学者らが訴えている危機は、実はもうすぐそこまで迫っているのだ。
参考:「Mysterious Universe」「pubpub.com」「iHeart Radio」ほか
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