蘇生者の40%が「死後に意識があった」 体外離脱して医師らの会話内容を報告するケースも

画像は「Unsplash」より

■蘇生した者の40%は死後に意識があったと報告

 研究者たちはまた、脳への酸素不足である脳無酸素症による臨死体験についの研究も行っている。ある研究者は、急加速中に意識を失った航空機パイロットが、トンネルビジョン(暗いトンネルの先に出口の光が見える現象)などの臨死体験に似た特徴的な体験をしていることを発見した。酸素の不足はまた、幻覚を引き起こす側頭葉発作を引き起こす可能性もある。それらは臨死体験に似ているかもしれない。

 そして臨死体験の最も一般的な説明は、死につつある脳という仮説だ。この理論は、臨死体験は、細胞が死に始めたときの脳の活動によって引き起こされる幻覚であると提案している。これらは瀕死の状態で発生するため、生還者が語る物語を説明できる。しかしそれでも人々が体外離脱体験をして、しかもその医師らの会話の内容を説明できるなど、臨死体験中に発生する可能性のあるすべての体験を説明することはできない。

 しかしながらこうした説明や仮説は、起きた現象に合うように組み上げられた“唯物論”の典型的なケースである。 たとえば、多くの人が死の直前に突然意識が明瞭になる現象である「終末の明晰さ(terminal lucidity)」については説明できていない。

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 再びパーニア医師によれば、たとえば2000人の心肺停止患者のうち、その過程で亡くなった人もいるが、しかし生き残った人々のうち最大40%が心肺停止の状態にあるときに何らかの形の意識を持っていたと報告しているという。蘇生した者の多くはそれ以上の詳細について言及することはできなかったが、それがたとえ真っ暗な世界であったとしても、意識を持った自分がそこにいることが実感できていたのだ。

 したがって死につつある人が周囲の人々を把握できていないと思い込んではいけないようだ。死の瀬戸際にありながら自分がまだ愛されていることを確認し、惜しまれる声を聞きたがっているのかもしれない。となれば病室で医師から“ご臨終です”という宣告がなされても、しばらくは愛する故人と一緒にいたほうがよさそうだがいかがだろうか。

参考:「Mind Matters」ほか

文=仲田しんじ

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