死んでも「タバコ浣腸」で生き返ることが可能? 38回以上の蘇り「ラザロ症候群」の裏歴史
ただし問題は、この当時、医学的に正しい蘇生法が確立しておらず、王立人道協会が標準治療として採用した蘇生法がタバコ浣腸だったことです。
溺れて心肺停止している患者の尻の穴にチューブをさしてタバコの煙を吹き込む、現代からみたら珍妙な方法で、昔の人工呼吸は上の口ではなく下の口から息を吹き込んでいました。
この方法はお腹の中が空気でいっぱいなると逆流してウンコが口の中に噴射されてしまう問題点があったので王立人道協会はフイゴで煙を吹き込むように装置を改良しました。
この装置は現代のAEDのように扱われ、溺死者を救急救命する道具としてテムズ川沿いに大量配備されました。
沿岸にあるカフェや教会などに協力してもらってタバコ浣腸を使った蘇生法の講習会を開いたりして救助に協力してくれる人たちの養成も行いました。
致命的な問題だったのは蘇生法が間違っていたことに気づくのにかなり時間がかかったことです。さらに、彼らは救命率を向上させようと、後の時代に偽医療の代表例として挙げられるフィーバー・パウダー(fever powder)を手足に擦り込む方法も導入しました。
同年代のオランダでは現代と同じ蘇生法が使われていたのですが、イギリスでは財力も影響力もある人達が間違った方法に固執した結果として惨事になりました。
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