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死んでも「タバコ浣腸」で生き返ることが可能？ 38回以上の蘇り「ラザロ症候群」の裏歴史

2021.10.05 16:00 文＝亜留間次郎

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タバコの煙を浣腸する道具を描いた1776年の教本。ノズル、燻蒸器、ふいごなど（Wikipedia）

　さらに、社会的影響力の大きい人が主催していたので活動資金が豊富だったことも間違った方法を助長することになりました。志は正しかったのですが、医学の発展が追い付いていなかったせいで微妙に残念な組織でした。

　皆さんは英語の「blowing smoke up your ass」という諺をご存じでしょうか？直訳すれば「お前の尻に煙を吹き入れている」となるけど「お前は馬鹿にされている」や「お前は騙されている」みたいな意味で使われる慣用句です。

　尻にタバコの煙を吹き込むタバコ浣腸には全く効果が無かったことから人を馬鹿にしたり騙したりする行為の代表例になりました。

　王立人道協会のヤラカシが原因でこんな諺が現代まで残ることになってしまいました。

　その後、王立人道協会はインチキ医療組織と批判されることになり、人工呼吸もやってたんですよみたいなことを言って誤魔化してから、最初に間違いを言い出した人がすでに死んでいたので素直に反省して医学的に正しい手段を取り入れました。

　志は正しかったので、その後も多くの自殺者と水難事故を救い続けて21世紀現在まで存続しています。現代では4ギニーの代わりに勲章がもらえることになっています。

■資料

・アン・グリーン https://en.wikipedia.org/wiki/Anne_Greene

・死者からのニュース オックスフォード城で処刑されたアン・グリーンというの奇跡的な救出の真実。彼女の回復に使われた特定の手段について https://archive.org/details/b30342107/page/n13/mode/2up

・集中治療1650年：アン・グリーンの復活 https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1258/jmb.2007.007041?journalCode=jmba

・アングリーンの奇跡的な救出：17世紀のオックスフォードの蘇生事件。 https://www.bmj.com/content/285/6357/1792

・ラザロ症候群 心肺蘇生に失敗した後で自動的に蘇生する現象 1982年以降、少なくとも38回の報告がある。 https://en.wikipedia.org/wiki/Lazarus_syndrome

・タバコ浣腸 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%B3%E6%B5%A3%E8%85%B8

・王立人道協会 https://en.wikipedia.org/wiki/Royal_Humane_Society

・ロバート・ジェームズ 偽医療の代表例として挙げられるfever powderの発明者 https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_James_(physician)

関連キーワード：イギリス, 自殺, 死刑囚, 蘇生法, 王立人道協会, ラザロ症候群

文＝亜留間次郎

亜留間次郎

薬理凶室の怪人アルマジロ男。人間の皮を被った血統書付きアルマジロ。守備範囲は医学から工学、ノーマルからアブノーマルまで幅広く、アリエナイ理科ノ大事典など、くられ氏と共に薬理凶室関連の共著多数。単著に『アリエナイ理科式世界征服マニュアル』（三才ブックス）がある。よくわからないケダモノなのでよくわからないネタで攻めていきます。

・公式サイト　http://asai-laboratory.sakura.ne.jp/
・Twitter

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