未解決『太田市パチンコ店女児失踪事件』解決を遠ざける大衆の先入観 “見るからに怪しげな人物”の正体<前編>

画像は「群馬郡警察」より

 1996(平成8)年7月7日、群馬県太田市に住む4歳の女児が、両親と共に訪れていたパチンコ店から行方不明となる事件が発生。この女児については、両親がパチンコを打っている間に姿を消しているが、本人が自発的に失踪するとは考えにくい年齢であるため、何者かによって店内から連れ去られたという見方が、発生当初から濃厚とされた。しかし、当局による懸命な捜査が実ることないまま時は流れ、発生から四半世紀が経過し、合計600万円もの懸賞金がかけられている現在も、女児の行方は不明のままとなっている。

 さて、後に『太田市パチンコ店女児失踪事件』と名づけられたこの事件においては、その後の捜査により、パチンコ店内に設置された防犯カメラの映像に、通路に置かれたベンチに座って女児と話している男性の姿が記録されていることが判明した。また、この映像を含め、防犯カメラの映像で確認した女児の行動や、目撃証言などから、女児が両親以外に接触したのはこの男性のみである可能性が高いと推測されたため、当局はこの男性を重要参考人として捜索している。

 しかし、この男性については、女児と同様、映像では確認できるものの、本人に辿りつく有力な情報はなく、現在においても、その素性や足取りは謎に包まれているという。なお、念のために付記しておくと、当局が情報提供を呼びかける際に発表したところによれば、この男性は身長158cmくらいの小柄な体形で、ニッカズボンのようなパンツにサンダル風の履物、サングラスをかけて帽子をかぶっているという、ある意味、“見るからに怪しげな人物”であるのだそうだ。

画像は「tsulunos(YouTube)」より
画像は「tsulunos(YouTube)」より

 こうした経緯から、これまで多くのメディアがこの男性が、あたかも「女児を連れ去った犯人」であるかのように報じるとともに、1979(昭和54)年から数年おきに発生している『北関東連続幼女誘拐殺人事件』との関連性について示唆しているが、無論、その真相は藪の中だ。ちなみに、今回、筆者はあえて一連の事件との関連性を考慮せず、あくまで『太田市パチンコ店女児失踪事件』が単独で発生したものと位置づけ、考察してみたいと思う。

 さて、この事件を知る多くの人々にとって、まず最初に頭をよぎるのは、おそらく、重要参考人とされ、当局側も解決の鍵を握ると推測していると思しき、前述の男性の存在であるだろう。しかし結論から言ってしまうと、筆者は、この男性が“見るからに怪しげな人物”であるがゆえに、事件そのものの解決が遅れているのではないかと感じているのだ。

<後編はこちら>

情報提供は→群馬県警

文=野島居慎太郎

日本の凶悪事件に詳しいライター

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