科学で判明した「死のニオイ」プトレシンとは!? 死臭を嗅ぐと○○な気持ちになることも!

 懐かしさを感じたり、あるいは食欲が引き起こされたりと、ニオイには感情を動かされるケースも多いが、その中には“死”を予感させる不吉なニオイもあるという――。

■有機化合物「プトレシン」は“死のニオイ”

 “危険な香り”とはよく用いられる比喩表現だが、どうやらサイエンス的にも不吉な疑念を生じさせ、“死”を予感させるニオイがあるというから興味深い。しかもそのニオイはそれまで一度も嗅いだことがなくとも、死を予感させるというのである。

 米ケント大学とアーカンソー・テック大学の合同研究チームがかつて行った実験では、腐肉の臭気成分であるアミノ酸の一種「プトレシン」とアンモニア、水のニオイにさらされた参加者がどのような反応を見せるのかを探っている。

 研究チームが収集したデータを分析したところ、アミノ酸の分解によって生成される有機化合物であるプトレシンのニオイは、それまで一度も嗅いだことがない者であっても、強烈な不安をかき立てるニオイであることが突き止められたのだ。

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画像は「Unsplash」より

 人間の死後に肉体が分解する過程では多くのニオイ成分が放出されるのだが、そのうちの1つにこのプトレシンがある。プトレシン自体は無色の液体なのだが、研究チームによればプトレシンが放つ腐肉臭は死を連想させる「死のニオイ」であり、死が意識された時に機能しはじめる嗅覚受容体を人間は太古の昔から持っているという。そしてこれは、死の1年前でも起こり得るということである。

 この「死のニオイ」が現れると、人々は無意識のうちに行動を変化させ、終わりの瞬間に備えるようになるという。しかし研究チームによれば「死のニオイ」は死の前兆ではなく、身体への脅威を知らせるシグナルであるという。

「死のニオイ」は必ずしも死ぬ運命にあることを知らせるものではなく、警戒を呼びかける警報であり、その原因を特定し取り除くことを助けるためのものであると研究チームは説明している。「死のニオイ」に諦めるのはなく、対策に取り組んで“死神”を追い払おうとするというのだ。

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■「死の匂い」は「闘争・逃走反応」を引き起す

 研究チームによると、プトレシンが放つ「死のニオイ」は、生物としての人間の「闘争・逃走反応(Fight-or-flight response)」を引き起こしているという。

 闘争・逃走反応は、恐怖に直面した際の反応で、差し迫った危機的状況において、戦うか逃げるか、いずれにしてもすぐに身体が動けるように準備を整える生理反応である。

 研究者たちは、人間がプトレシンに短時間曝露されただけで警戒を強め、その後、逃げるか攻撃するかの準備が促されることを突き止めたのである。

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