原子物理学の世界で「既存の科学では説明できない何か」とは? 常識が激変する”不気味な現象”

 原子核物理学の世界でこの40年、依然として謎のままである現象が「EMC効果」だ。科学者たちを悩ませるこのEMC効果の理解だが、最新の研究でようやく一筋の光が見えてきたようだ。

■原子核物理学の不可解な現象「EMC効果」とは?

 原理原則の行き着く先はきわめて単純明快でなければならない。1+1は必ず2でなければ、日々こまめに帳簿をつける意味が失われてしまう。しかし原子核物理学の世界では、驚くべきことにその礎となる原理が依然として不明瞭なままなのだ。

 人類はもう70年も前から核分裂反応によって発生するエネルギーを利用してきているのだが、ある意味で不気味なことではあるが原子核内部での陽子と中性子の振る舞いは今なお完全には理解されていない。その不可解な現象は「EMC効果(EMC effect)」と呼ばれている。

 陽子と中性子は周囲の電子と共にさまざまな比率で絡み合って、自然界で観察されるすべての原子を形作っている。たとえば水素原子は1つの陽子と1つの電子で構成されていて、一方でプルトニウムの原子は94の陽子、94の電子、最大150の中性子を持っている。

 そしてこれらの核子はクォークと呼ばれるさらに小さく、さらに奇妙な亜原子粒子で構成されているのである。

 1968年にCERNで最初に物理的に観測されたクォークには、6つの“特性”がある。その特性とはそれぞれ、アップ(Up)、ダウン(Down)、チャーム(Charm)、ストレンジ(Strange)、トップ(Top)、ボトム(Bottom)だ。

画像は「Wikimedia Commons」より

 たとえば、陽子は2つの「アップ」クォークと1つの「ダウン」クォークで構成され、中性子は1つの「アップ」クォークと2つの「ダウン」クォークで構成されている。すべてをまとめるために、核子とそのクォークの両方が強い核力(強い相互作用)と呼ばれる力でまとめられている。

 理論的にはこの強い力は、核子とそのクォークの両方が原子核内で変形したり変化したりするのを防がなければならないはずなのだが、実際には原子核内部で原理から逸脱することが起こっているのだ。

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