かつて北米にいた謎の人種「月の目をした人々」とは!? 昼間は目が見えず… 歴史を覆す3つの可能性
北米ネイティブ・アメリカンはいくつもの不思議な伝承を持つが、中でも最も奇妙だと言われているのが「月の目をした人々」の言い伝えだという。「Ancient Origin」(1月23日付)が紹介している。
月の目をした人々はチェロキー族の伝承に登場する。彼らはチェロキー族が米国南東部に到達する前に同地域に住んでいた独特の「種族」だとされ、表向きは白人だが、「昼間は目が見えない」という特徴があったそうだ。18世紀に米政府とチェロキー族の仲介役を務めたレナード・マーベリー大佐は、月の目をした人々はアルビノではないかと考えていた。というのも、ウェールズの海洋探検家ライオネル・ウェハーが17世紀に出版した著書に、クナ族が話していたアルビノ・コミュニティについての記述があるからだ。それによると彼らの特徴はその白さだけでなく、三日月のような形をした不思議な目と、その視力の弱さだという。曇った日か、もしくは夜でないと外に出られなかったそうだ。そのためかは分からないが、彼らはチェロキー族に駆逐されてしまったという。
ただ、彼らの正体についてもう1つの興味深い可能性がある。中世初期の海洋探検家だったウェールズの王子、マドック・アブ・オーウェン・グウィネズの神話だ。ウェールズの若き王子マドックは、故郷での内輪もめを逃れて西へと船出し、1170年にコロンブスに先駆けること300年前に北米に到着したという伝説が残っている。入植者による初期の記録によると、ヨーロッパ人に似ていて、ひげがあり、赤い髪で、青い目をしている「ウェールズ・インディアン」の記述があるという。
またマドック王子と月の目をした人々の説を結びつける不思議な場所がある。ジョージア州にある山の頂上には巨大な石造りの要塞の跡があるが、その石垣はヨーロッパの城郭建築を彷彿とさせる。さらに、チェロキー族の長老によると、この要塞は「ウェルシュ」と呼ばれる人々によって建てられたという。さらに、初期テネシー州の知事だったジョン・セビアは、ウェールズの紋章が刻まれた真鍮製の鎧を身につけた6体の骸骨が1799年に発見されたと記述している。
月の目をした人々の正体について、1つの可能性としてアルビノとウェールズ人が有力視されているが、もう1つ、紀元前に北米大陸に渡った人々の末裔だという説もある。ミシシッピ川周辺には紀元前500年ごろのマウンド(塚)と呼ばれる人工的な丘が残されているが、これには謎が多く、氷河期に北米大陸に渡った白人種の祖先が作ったものではないかとも言われている。
このように、月の目をした人々の正体については3つの可能性があるが、今も謎は解かれていない。今後の研究に期待しよう。
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