友人と体を交換「ボディスワッピング」実験の恐ろしい結末とは? 人は何者にでもなれると科学が証明
※ こちらの記事は2020年8月31日の記事を再掲しています。
映画『転校生』から『君の名は。』まで、体(人格)の入れ替わりはあちこちのフィクション作品で描かれてきた表現技法だが、実際に他人の体で目を覚ましたらどうなってしまうのか……そんな妄想を膨らませたことが誰でも一度や二度はあるだろう。この度、そんな夢物語が科学的に研究されたというのだ。
科学ニュース「SciTechDaily」(8月26日付)によると、26日にオープンアクセスジャーナル「iScience」に掲載された研究論文で、他人と体を入れ替えることで人格も他人に似てくることが明らかになったという。
・Perception of Our Own Body Influences Self-Concept and Self-Incoherence Impairs Episodic Memory(iScienece)
スウェーデン・カロリンスカ研究所のポスドク研究員パウェル・タチコウスキー氏らは、被験者である2人1組の友人たちに相手の体のライブ映像を映し出すゴーグルを装着させ、友人の体の中に入ったかのような錯覚状態を生み出したという。
友人同士で体の対応する部分を刺激するなどして、錯覚状態を深めていったところ、偽造ナイフで友人の体を脅すと、あたかも自分に脅威が迫っているかのように恐怖し、発汗したという。
「ボディスワッピング(体の入れ替え)はもうSF映画だけのものではありません」(タチコウスキー氏)
短い時間の実験だったが、実験中に被験者らの自己認識は大きく変わったという。体が入れ替わった(と錯覚した)時、話好き、陽気、自立心、自信といった友人が持つ好意的な特徴を持つようになったというのである。
これは将来的に臨床応用できるかもしれないとタチコウスキー氏は語っている。
「うつ病を患っている人は、自分自身について非常に硬直した否定的な信念を持っていることが多く、それが日常生活を壊滅的なものにしてしまうことがありますが、この錯覚を少し変えれば、そうした信念を和らげ、ポジティブに変えられる可能性があります」
一方、自身の経験した出来事に関するエピソード記憶についてのテストでは悪い結果が出た。タチコウスキー氏によると、人は自分自身に関連した出来事を記憶することに長けているが、体の入れ替わり実験により他人の自己認識が干渉してきたことで記憶力が低下したのではないかとのことだ。また、友人の自己認識によりよく適応した人ほど、記憶テストで良い成績を残しており、これは「自己矛盾」が相対的に少なかったからだという。
技術の進歩により、ボディスワッピングが現実化しようとしているが、臨床応用だけでなく、新たな体験をもたらすエンターテインメントツールとしても注目されていくかもしれない。今後の研究にますます期待したい。
参考:「SciTechDaily」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊友人と体を交換「ボディスワッピング」実験の恐ろしい結末とは? 人は何者にでもなれると科学が証明のページです。スウェーデン、スワッピング、君の名は。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで