宿題ナシで「大学合格率98%」 ゲイツも絶賛する学費無料の公立校とは?
どうすれば料理を効果的に教えられるのか。それは教えるのではなく、失敗を体験させることにあると気づいた教師は、新たな教育法を考案し学校を設立した。生徒に主体的に学ばせることで同校は大学進学率98%を達成する優秀校になったのだ。
■失敗から学ぶ教育法を採用した学校を創設
当時高校教師であったダイアン・タヴァナー氏とその夫は、10代の息子に週に1度、家族の料理を作らせてみるというアイデアを思いついた。彼女も夫も家庭料理に長けていて、最初はキッチンで息子の脇に立って指導していたのだが、こうした直接指導は必ずしも効果的ではないと思うようになる。
そこで夫妻はキッチンから離れ、息子の裁量に任せることにした。息子から何か聞かれた時だけ、調理法を説明するようにしたのだ。
それまでは親から言われるがままにキッチンで作業していた息子だったが、それからは料理に自主的に取り組まなくてはならなくなった。
食材を焦がしてしまったり、逆に加熱が不十分だったりと何度も失敗を重ねたが、その過程で同じ過ちを繰り返さないようになり、経験を積むうちに息子は短期間のうちに着実に料理の腕を上げていったのである。
息子がこうして料理のスキルを身につけたプロセスこそ、今の教育に必要であると考えた彼女は、教育への新しいアプローチを導入した学校「サミット・パブリック・スクール(Summit Public Schools)」の共同設立者となる。
同校の生徒は過ちから学ぶよう奨励され、「現実世界」での生活により近い実践的なプロジェクトベースの学習に積極的に取り組み、大学合格率98%を誇る優秀校となったのだ。
■「レシピの作り方を学ばなければならない」
「子どもたちが最高の人生を送る機会を持てるように本当に準備したいのであれば、育つ過程の教育と、それが伝えるメッセージを根本的に再考する必要があります」とタヴァナー氏は語る。
従来の公教育システムでは料理を学ばせるのに学生にレシピと食材を渡すようなもので、そのメッセージは「これが知っておくべきことです。完全に憶えられればテストで“A”を取得できます」というものだ。
しかし現実の世界では、物事はそれほど単純ではない。そのため同校では別のアプローチを採用している。
「生徒たちは食材を持っていても、レシピの作り方を学ばなければなりません」と同校の生徒でもあった前出の息子、レット氏は説明する。
レシピは確かに助けにはなるが、現実のキッチンで実際に料理を作るとなるとそのレシピを加筆修正して自分なりのレシピを作ることが求められる。そしてこれこそが自分を主役にした自主学習であるということだ。
同校では学生が科目に取り組み続けて成績を上げられるようにすることで“失敗する機会”、つまり間違いから学ぶ機会が得られ、時間の経過とともに成績が向上することが期待されているのだ。
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2024.10.02 20:00心霊宿題ナシで「大学合格率98%」 ゲイツも絶賛する学費無料の公立校とは?のページです。学校、教育法、メンター、進学率などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで