40歳を過ぎると「脳が再配線される」ことが判明! ネットワーク変更による変化とは?
私たちの脳は、40歳から急激な「再配線」を開始し、その後数十年にわたって多様なネットワークが統合・結合されていくことが新たな研究で判明した。
・Psychophysiology – Wiley Online Library
オーストラリア・モナシュ大学の研究者らは、「Psychophysiology」誌に掲載された系統的レビューで、科学文献を精査し、人間の脳の結合性が生涯にわたってどのように変化するかをまとめた。その結果、40歳以降に脳は根本的な「配線変更」を開始し、その後数十年にわたって多様なネットワークが統合・結合され、それに伴って認知にも影響が及ぶことが示されたという。
10代から20代の初期には、脳は内部に高い結合性をもつ多数の分割されたネットワークを形成しており、これは特殊な処理を行う能力を反映しているとみられている。これぐらいの年齢では、スポーツや語学を学び、才能を開花させる時期であるため、理にかなっているといえるだろう。しかし、40代半ばになると、その状況は一変する。分割された脳内ネットワークの内での結合性が弱まり、それぞれのネットワーク間の広域的な結合が強まるというのだ。さらに80代になると、脳はさらに局所的な専門性を失っていき、広くつながり、統合される傾向があるという。
しかし、このことは悪いことばかりではないという。「主に自動的またはよく練習されたプロセスに依存するタスクは、年齢による影響が少なく、語彙や一般的な知識など、生涯にわたってわずかに増加する可能性さえある」と、論文執筆者らは指摘している。
では、そもそもなぜ、このような脳のネットワークの変化が起こるのだろうか? 研究者らは、「成人の脳は体重の約2%に過ぎないが、グルコース供給量全体の約20%を必要とする」と、脳は資源を必要とする器官であり、単純な糖であるブドウ糖に貪欲であることを指摘。
年をとると体の動きが鈍くなり、脳の働きも悪くなる傾向にあるが、これは脳へのブドウ糖の供給が減ることのみならず、脳が“燃料”を有効に活用できていないことを意味するという。つまり、ネットワークの変化は、燃料であるブドウ糖の減少と老化する脳という状況に適応し、できるだけうまく機能するように自己再編成した結果であると考えられるそうだ。
また、適切な食事、定期的な運動は、脳の働きを正常に保ち、ネットワークの変化を抑制してくれるという。結局は健康的なライフスタイルが一番ということだろう。
参考:「Psychophysiology – Wiley Online Library」、ほか
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