キリストの死に執着した狂気の外科医! 死因解明のため死体を磔にし…
聖骸布の真偽については論争が絶えず、科学的調査も行われてきた。1988年には、オックスフォード大学、アリゾナ大学、スイス連邦工科大学が放射性炭素年代測定を実施し、この布が織られたのは1260~1390年の間であると推定された。一方で、3機関が発表前に生のデータの公開を拒否したことなどから、推定結果の信憑性に対する疑問も噴出した。
この調査が実施される前に聖骸布を調べたバーベットは、手の傷から出た血が異なる2方向に流れているように見える痕跡があるため、イエスが十字架上で2パターンの姿勢をとったのではないかと考えた。そして、イエスはアウフビンデンの受刑者のように、呼吸が困難となる姿勢になってそのまま息絶えたと結論付けた。
これを証明するため、バーベットは自家製の十字架に死体を釘付けにする実験を行った。ローマの死刑執行人と同じように、作業を素早く乱暴に行って、死体を持ち上げた。その結果、死体が予想通りの姿勢となったことから、イエスは十字架の上でアウフビンデンの受刑者と同じ理由で死亡したと考えた。聖骸布の血痕は、イエスが息を吸うために体を持ち上げた証拠であるという。
イエスの死因は窒息ではなかったのか?
20世紀半ばまでイエスの死因は窒息死とされてきた。しかし、近年はこれに異を唱える説も少なくない。
米国人医師のトーマス・マクガバン氏は、イエスは失血によるショックで死亡したと主張する。イエスが窒息死したとしたら、福音書で伝えられているように、息を引き取る前に「わが神、わが神、どうして私を見捨てられたのですか」と叫べないと考えるからである。
米ニューヨーク州ロックランド郡の元主任検視官で法医学の専門家のフレデリック・トーマス・ズギベ氏は健康な志願者に磔実験を行った。釘打ちの代わりに被験者の手足をストラップで縛った。被験者の体はバーベットが述べたような姿勢となったが、呼吸困難を訴えた被験者は一人もいなかった。また、被験者は体を持ち上げることもできなかった。この実験結果をふまえてズギベ氏は、イエスが窒息死したわけではないという説に同意し、死因は出血によるショックであると自著で述べた。
さらには、イエスは十字架上で気を失ったため、死んだと思われたが、後に昏睡状態から回復して復活したとする説もある。
イエスの死について真相を解明する研究はこれからも続いていくのだろう。その基礎となる先行研究の一つとして、狂気じみているように見えるバーベットの研究も決して忘れてはならない。
参考:「Mad Scientist Blog」、「The Daily Beast」、ほか
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