プラセボ効果は「意味のある反応」 中世医学を再解釈、魔術は信念による自己治癒か?
新薬開発の実験において大きな役割を担っているのが「プラセボ効果」だが、これまで注目されてこなかったヨーロッパ中世の医学においてプラセボ効果に深い理解があったことがわかってきている。
中世の医療でも注目されていた「プラセボ効果」
人間には自然治癒能力があり、何かを強く信じることでその能力が開花することがあるといわれている。そしてそれがプラセボ(偽薬)であったとしても、治ると信じて服用すれば一定の効果があることが科学的にも証明されていて「プラセボ効果」と呼ばれている。プラセボにはカプセルに入った単なる砂糖や、生理食塩水の注射などがある。
また転んでヒザをぶつけて泣き出した子どもを母親が撫でさすり「痛いの痛いの飛んでいけ~!」と“おなじない”を唱えるとピタリと泣き止むこともある。この時、子どもは母親のおまじないを信じているともいえ、これも広い意味でのプラセボ効果だろう。

今日、プラセボ効果はれっきとした医学研究の一翼を担っており、新薬の実験では被験者の半数に本物の新薬が投与され、もう半数にはプラセボが投与される。効能の結果を比較して、新薬がプラセボ効果を上回るかどうかが検証されるのである。
この200年間、医学研究の分野においてヨーロッパ中世の医療はおおむね前近代的な遺物であるとして研究に値しないものであるとされてきた経緯がある。また中世の治療法ではハーブを使ったものや、あるいは魔術を用いたものまであり、現代医療では否定されているものも多い。しかしプラセボ効果が実証されている中にあって、中世においても“信念”が治療に影響を及ぼすことはむしろ今以上に深く理解されていたとしても不思議なことではない。
そこでリンカーンメモリアル大学の英語の准教授であるレベッカ・ブラックマン氏による新しい研究では中世の3冊の医学書、『Bald’s Leechbook』、『Leechbook III』、『Old English Herbal』を詳しく解釈する試みが行われている。そして中世の医学におけるプラセボ効果についての理解を検証したのである。
ブラックマン氏はプラセボという言葉に関連する偏見を薄めるために、アメリカの医療人類学者で民族植物学者であり、ミシガン大学の人類学の名誉教授であるダニエル・エリス・モアマンによって最初に使用された「意味のある反応(meaning response)」という用語を用いている。

関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊プラセボ効果は「意味のある反応」 中世医学を再解釈、魔術は信念による自己治癒か?のページです。魔術、医療、中世、プラセボ効果、自然治癒などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
科学最新記事
人気記事ランキング11:35更新
- ・ミャンマー大地震、死者1万人以上か、専門家は「最悪の事態まだ」と警鐘
- ・脳の老化は44歳から急加速? 脳の老化を遅らせるカギとは
- ・悪夢の人体実験「毒物部隊」とは!?人柱となった12人
- ・“嘘をつく人”がよく使う言葉とは?心理学が明かす“言葉のクセ”の正体
- ・植物でも動物でも菌類でもない謎の生命体「プロトタキシーテス」
- ・ビル・ゲイツが語る「AI時代を生き残る」3つの仕事とは
- ・婚約者と娘を失った「見える女性」の壮絶体験
- ・恋人の口に手を入れたら…まさかの“救急搬送”の顛末
- ・人類はすでに宇宙人からの連絡を受けていた!?
- ・もしもアインシュタインが生まれていなかったら?
- ・CIAが「ノアの方舟」を極秘調査していた!“伝説の船”を巡る新証拠と50年の沈黙
- ・ミャンマー大地震、死者1万人以上か、専門家は「最悪の事態まだ」と警鐘
- ・脳の老化は44歳から急加速? 脳の老化を遅らせるカギとは
- ・悪夢の人体実験「毒物部隊」とは!?人柱となった12人
- ・「脈動するUFO」夕暮れ時の海上に現れた奇妙な物体
- ・“嘘をつく人”がよく使う言葉とは?心理学が明かす“言葉のクセ”の正体
- ・ピラミッド地下に「記録の殿堂」があるのか?
- ・“銀河連邦メッセンジャー”が語る「UFO侵略予告」
- ・植物でも動物でも菌類でもない謎の生命体「プロトタキシーテス」
- ・【UFO議連総会レポ】非人間知性(NHI)の存在は“ほぼ確定”!?