陸上を歩けるかもしれない魚11種! 歩行能力に関係する骨の構造を科学者が特定
そろそろ冬本番。海の幸が続々と旬を迎えるなか、今夜18時25分から放送される「ソレダメ!〜あなたの常識は非常識!?〜」(テレビ東京系列)では、新鮮な海鮮物を激安で販売する大手スーパー「角上魚類」の新常識が紹介される。
ところで、トカナでは過去に”常識はずれ”の能力を持った魚にまつわる記事を掲載している。2016年にタイの洞窟で発見された「ケイブ・エンゼルフィッシュ」は、発達したヒレを使って水のない場所を歩行することができるという。さらに、2020年8月にはニュージャージー工科大学やフロリダ大学の研究チームが、同等の歩行能力を備えた魚がほかにも10種ほど存在することを発表している。今後、生物の進化を目の当たりにする日はそう遠くないのかもしれない。
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※ こちらの記事は2020年9月28日の記事を再掲しています。
生物の進化の瞬間を目撃できるかもしれない――。将来、陸上を歩けるようになるかもしれない魚が11種、特定されたのだ。
■生物の“進化”を目撃する日は近い!?
太古の昔、最初に陸への第一歩を踏み出した魚によって、陸上生物の繁栄がもたらされた。その奇跡の瞬間を目撃できる日が来るかもしれない。今後、陸を歩きはじめるかもしれない11種の魚の存在がリストアップされたのだ。
すでにある程度は歩ける魚は特定されている。2016年にタイの洞窟で発見された「ケイブ・エンゼルフィッシュ(Cryptotora thamicola)」である。ケイブ・エンゼルフィッシュは盲目で、暗い洞窟内の水のない場所をその発達したヒレを使ってある程度の距離を歩くことができるのだ。
そしてこのケイブ・エンゼルフィッシが属するコイ目タニノボリ科の魚の中にはほかにも10種が同等の歩行能力を備えていることが、ニュージャージー工科大学やフロリダ大学をはじめとする研究チームが8月13日に「Journal of Morphology」で発表した研究で指摘されている。
研究チームはこのタニノボリ科の魚の骨格の構造を詳細に分析し、生物進化における最初の陸上歩行脊椎動物がどのようにして水から抜け出し陸に上がってきたのかを検証した。
鍵を握っているのは脊椎と骨盤ヒレの間の接続部分である「骨盤帯」だ。研究チームはタニノボリ科の29種の魚の骨格を分析し、歩行能力に関連すると見られる骨の構造である骨盤帯を特定した。そしてケイブ・エンゼルフィッシュと同じ構造の骨盤帯を持つ魚種がほかにも10種類いることが確認されたのである。
研究チームのフロリダ大学付属フロリダ自然史博物館の生物学者、ザカリー・ランドール氏は「魚は通常、脊椎と骨盤ヒレとの間には何の関係性もありません」と語る。
「これまでケイブ・エンゼルフィッシュは完全にユニークな魚のひとつであると考えられてきました。この論文の本当にすばらしいところは、タニノボリ科の一部には考えていたよりも頑丈な骨盤帯があることがスタンダードだときわめて詳細に示したことです」(ザカリー・ランドール氏)
ケイブ・エンゼルフィッシュはヒレを利用して身をくねらせながら小刻みに動くことで、肋骨を伸ばし筋肉を安定させて“歩行”している。実際に歩いているところを観察された唯一のタニノボリ科の魚種がケイブ・エンゼルフィッシュだ。
専門家は、早い流れの洞窟の小川を移動し、他の魚が到達できない酸素に富む小川に到達する方法として、この歩行能力を進化させたと考えている。もちろん浅瀬を歩くこともできれば、規模がごく小さな滝であれば歩いてよじ登ることもできるという。
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