植物状態の女性を霊視してわかった衝撃のメッセージとは? 人は自ら死期を選ぶのか

 霊視や交霊は死者だけでなく、生きた人間に対しても行うことができるようだ。霊能ライター田口ゆうは植物人間の女性と対話し、彼女の願いを叶えたという。その願いは家族の誰もが予想しない意外なことだった――。

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※ こちらの記事は2021年7月29日の記事を再掲しています。

――巫女の家系に生まれた霊能ライター「田口ゆう」が暴露!

植物人間の母と会話したい

 その時、筆者はいつもの鑑定よりも重い気持ちで、島津姉妹の依頼を受けた。島津姉妹の依頼は「もう2年、植物状態で病院に入院している母の希望が聞きたい」というものだった。今の法制度では、たとえ本人である「母」が安楽死をんでいた望としても、それは叶えられない。その場合、筆者は霊能者として、依頼人に母が死を望んでいるということを伝えていいのだろうか。

 筆者は気が重くなった。

植物状態の女性を霊視してわかった衝撃のメッセージとは? 人は自ら死期を選ぶのかの画像1
画像は「Getty Images」より引用

 依頼当日、姉・綾子と妹・恵子は、夏らしいワンピース姿で事務所に現れた。2人とも介護に疲れた様子で、表情は暗かった。

 綾子は「母は生きたいんでしょうか、死にたいんでしょうか。母が望んでいることを教えてください」と神妙な面持ちで話し出した。「お母様が死にたいと思っていた場合、現行の法制度ではお母さんの望みを叶えてあげることはできませんが、それでも、お母さんの気持ちをお知りになりたいですか?」と筆者は綾子に確認した。綾子は「それでも母の意向を知りたい。母ともう一度話したいんです」と筆者の目をまっすぐ見つめて言った。

 筆者にとっても、死者ではなく、「生者で植物状態」の方の霊視をするのは初めての経験だった。そのような状態の人間の意識を通して、何かが見えるのか、それとも何も見えないのか、迷いながらも筆者は目を閉じ、母・明子の姿を思い浮かべた。

 筆者の頭の中に「洋介さんを許してやって」という声が響いた。筆者は島津姉妹に「お母様は『洋介さんを許して欲しい』とおっしゃっていますが、『洋介さん』という方に心当たりはありますか?」と聞くと、島津姉妹は顔を見合わせ、「母は本当に許せと言っているのですか? 洋介は父です。だけど、母が植物状態になったのは、父が母を殴ったからなんです。なぜ、母は許せと言うんですか? 許せるわけがないじゃないですか!」と恵子は泣きながら叫んだ。

 筆者はさらに続けた。

「『お父さんじゃない。(脳の)血管が切れたのは、運命だったから。お父さんのせいじゃない、もうお父さんを責めないで』とおっしゃっています。病院の枕もとで3人が喧嘩する声が聞こえているようです。お母様は3人が仲良くすることを望んでいらっしゃいます」

 綾子さんは「母は聞こえているんですか? そうです、筆者と妹は見舞いにきた父を責めました。お母さんを殺したのはあなただ! って。それ以来、父は見舞いにきたことはありません。今は私たち姉妹との交流はほとんどなくて、父は実家に一人で暮らしています」

 筆者が「お母様は仲直りして欲しいそうです。お父さんが殴ったことは直接の原因ではなくて、偶然、血管が切れた日にお父さんが頭を小突いただけだとおっしゃっていますよ。お母様のお願いを聞いて、お父さんを許せそうですか?」と聞くと、島津姉妹は「母がそう望むなら、父と和解をします」と泣きながら、うなずいた。

 母の明子は他にもいくつか要望を伝えてくれた。

「あの太った看護師は看護が荒い。痛いことをするから、あの人はもう嫌だ」

「足が冷えて、冷えて、痛くて仕方ない。どうにかして欲しい」

「庭の鉄砲百合はどうなった? 百合の香りを嗅ぎたい。部屋に飾ってほしい」

「お父さんにも看病して欲しい」

「お父さんと綾子、恵子で仲良く暮らして欲しい」

 筆者が伝えると、綾子は号泣しながら言った。

「太った看護師が非番の日に、母の体にあざができていることが多くて、虐待を疑っていました。病院には担当を変えるように伝えたから、母にもう平気だと伝えてください。足の冷えは寝たきりなので、氷のように冷たいんです。どうしてあげたらいいんでしょうか? 母は元気な頃、庭に鉄砲百合を植えて育てていました。でも、母が倒れて以来、誰も世話をしていないので枯れてしまいました。今、母がいる病室は相部屋なので、百合の花は香りがきついので、飾ることは断られました。どうしたらいいでしょう? 父の家には今日行って、田口さんの鑑定内容を話して和解します」

 筆者は、百合の香りのアロマオイルで足をマッサージしてあげること、お父さんも看病に参加させてあげて欲しいことを伝え、鑑定を終えた。

植物状態の女性を霊視してわかった衝撃のメッセージとは? 人は自ら死期を選ぶのかの画像2
画像は「Getty Images」より引用


 翌日、姉の綾子から事務所に電話がかかってきた。「昨日、父に、昨日の田口さんの鑑定について話しました。父は何も言わずにただ涙を流しました。百合の香りのアロマオイルを見つけました。これからは父と妹と3人で、母を看病します」とのことだった。

 それから2週間後、事務所に妹の恵子から電話があった。

「母は昨日、亡くなりました。父はあの日以来、毎日、母の看病に来ました。3人で母の足をマッサージして、オイルを病室で炊くわけにはいかないので、鼻の近くで嗅がせました。父が一番、熱心に看病しました。母の頭を撫で、語りかけ、母の額にキスをしていました。両親は母が元気な頃から仲が悪かったのですが、夫婦の絆って分かりませんね。それから2週間、母は穏やかな顔で亡くなりました。どうもありがとうございました。もし鑑定を受けていなければ、筆者たち姉妹と父は、一生絶縁状態だったでしょう。母は伝えることを伝えられたので、安心して、自分から“逝った”のだと思います」

 筆者はそっと目を閉じた。明子さんが微笑んで天国へと旅立たれるのが見えた。お母さんは最後まで家族の幸せを願っていらっしゃっていたのだろう。

 筆者がこういった病気や事故で意識不明の方を霊視・交霊をすると、1〜2週間で親族から「亡くなりました」「いい末期でした」という連絡が来るということがたびたびあった。人は最期のとき、自分で「死ぬ」ことを決めるのだろうか。筆者にはそうとしか思えない。

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文=田口ゆう

35才で高熱を出して霊感に目覚める
共感覚者で人の感情に色がついて見える
マイノリティ向けweb「あいである広場」編集長

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