座敷わらしが住む旅館「緑風荘」とは? 不思議な力で火事から復活!?

緑風荘は、岩手県にある青森県との県境に位置する金田一温泉郷の旅館である。家に住みついたり、その姿を見たりすると、幸福を呼ぶといわれる「座敷わらし」が現れる旅館として全国的に有名だ。
緑風荘の座敷わらしの由来には、次のような話がある。
南北朝時代、藤原朝臣藤房は南朝の後醍醐天皇に仕えていたが、南北朝戦争で南朝が敗北したことで北朝の足利軍に追われ、現在の東京都あきる野市に身を隠した。その後も北上を続けていき、現在の岩手県二戸市にたどり着く。その道中で2人連れていた子供のうち、6歳だった兄の亀麿が病に倒れ、その間際に「末代まで家を守り続ける」と言い残し息を引き取った。以来、亀麿は守り神「座敷わらし」となり、今では緑風荘の槐の間に住みつきたびたび姿を現すという。中庭には、この亀麿を祀る祠(亀麿神社)も建てられている。
座敷わらしの存在については、柳田國男の『遠野物語』によって全国的に知られるきっかけとなり、その後1970~1980年にかけて、オカルトブームに乗る形で児童小説や演劇ともなった。怪奇・超常現象をテーマとしたテレビ番組や雑誌の隆盛によって、緑風荘の座敷わらしも大きく取り上げられた。このころから芸能人の宿泊ラッシュとなり、数カ月先まで予約が取れない旅館としても知られることとなった。そのたび、座敷わらしを目撃したという宿泊客からの報告も多く寄せられたという。
2009(平成21)年、火災によって緑風荘が火事で亀麿神社を残し全焼してしまい、のちに寄付や募金によって2016(平成28)年には営業再開となった。この火事においても奇妙な目撃証言がいくつか伝えられており中には子供のような姿が亀麿神社に逃げ込む様子を見たというものもあったという。この火災では、幸いにも従業員と宿泊客は全員無事、類焼もなかったことから座敷わらしのお陰で助かったとも言われている。
座敷わらしは、幸運を求める人々にとっては是非とも会いたいと願う存在である。しかし、忘れてはならないのは子供の姿とは言え「守り神」でもあるということだ。自分の幸運を求めるためだけではなく、やはり畏れ敬う気持ちは忘れてはいけないだろう。
参考:「座敷わらしの宿 緑風荘」
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