中世ドイツの秘密結社『聖フェーメ団』とその秘密裁判

 この度、かねてよりTOCANAと関わりのある出版社の彩図社様から、2021年に発売された『怪しい噂の真相 禁断の雑学』の使用許諾をいただいた。まさに怪しい噂、雑学が目白押しの一冊には、知っているようで知らない興味深い知識が散りばめられている。今回は特別にTOCANA編集部おすすめの話題を抜粋して紹介する。

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中世ドイツの権力集団聖フェーメ団の怖さとは?

 13世紀のドイツでは戦乱が相次ぎ、治安が悪化して地方の一部が無政府状態に陥っていた。その混乱を治めるために結成された秘密結社が、聖フェーメ団だ。

 組織の目的は、機能不全の司法権力に代わって裁判を行うことにあった。つまり、私的に悪人を裁いたわけだ。ただし、私的といっても無秩序な私刑ではなく、ルールに則って実行された。組織が目をつけた人間に出頭状を送り、判決役の「従僕」、裁判官の「陪席判事」、裁判長の「裁判官」立ち合いのもとで裁判を行ったのだ。被告人には弁護士をつける権利もあったというから、公的な裁判と仕組みは似ている。

画像は「Wikipedia」より

 ただし、法廷は基本的に非公開で、組織の法文は会員以外には伝えられなかった。しかも有罪となれば、待っているのは死刑のみ。首をくくるための樹木が法廷には用意されていたという。出頭状を3回無視すると強制的に国外へと追放されるなど、まさに有無を言わさぬ私刑集団だった。

 会員は10万人を超えたといわれているが、実数は不明だ。その影響力は皇帝ですら無視できず、1371年には正式に司法権を承認されている。これによって聖フェーメ団は半ば公認の組織として活動したが、1811年にナポレオン軍がドイツ領へ侵入したことを機に解散した。その間約440年も、「地方法廷」として聖フェーメ団は君臨していたのである。

(文:黒い雑学研究会)

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TOCANA編集部

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